船乗りの恋。
シャーウッド/M'axio、プロローグから全面改稿にする。
ORIENT-EXPRESSを聴いているうちに、なんだか少し怪しい気分になってきた。
たとえばコンスタンチノープルの高い尖塔の一角で、はるかな世界を眺めている姫がいる。この姫は楽しいことや面白いことが大好きなのに、外の世界に出してもらうことができない。見かねた乳母がある日、姫に不思議な筒をくれた。その筒を目に当てると、誰も見たことのない、経験したことのない遠い海の彼方の、はるかに時間を越えた場所の出来事を見ることができるのだとか。

乳母は、ある日ふらりと出かけた港で知りあった異国から来た船乗りに身を任せた。
乳母の魅力におぼれた船乗りは、南の島の王様をだまして取り上げた千里眼と呼ばれるふしぎな筒を贈ることにした。
寂しくなったら海の彼方にいる自分の姿をその千里眼で探してもらいたかったのだ。乳母は貧しく船乗りに持っていってもらえるようなものは何もなかった。だから、一生懸命に愛のことばを羊皮紙に書いた。その愛のことばを船乗りがさみしくなったときに読んでくれたらと切ない気持ちでしたためた。そして、姫の城に代々伝わってきた油で煤だらけになった古いランプを持ち出し手紙に添えた。ランプがあれば、嵐の夜にだって愛の手紙を読めて、大好きな船乗りの不安な心を鎮められるかもしれない、そんなふうに思ったから。
ても乳母も船乗りも、そのランプが後に「魔法のランプ」として世を騒がせることになることを、まったく知らなかった。
それはまた別の物語である。


と、いうような背景でプロローグを切り直す。ま、気持ちの問題ではあるが。