馬でもあれば…
朝日に明ける街を見た。
夕日と暮れる街も見た。
春のような眠りにひきこまれそうな一日だった。
朝の湾岸からはじめたロケハン。
都内を横断し、市谷で沈む太陽を眺めた。

思わず撮影部に連絡をした。
空いているHDカメラがあったら撮って欲しいと頼んだ。間に合ったかどうか。
もし撮れていれば、東京がアフガンの砂漠の都市のようにも見える年に何日かしかない不思議な夕だったはず。

馬でもあれば、思いきり疾駆したくなるような太陽の輝き。モーターのついたクルマでは、さすがに絵にはならない。
外堀ぞいの桜の一部が紅葉。街のあちこちで秋の色を見かけた。

今宵、満月。
予定ではいまごろ房総の海辺で月に挑んでいるはずだったが。
途方に暮れながら原稿を書いている。

渡辺は《むじな戦記/外伝2》に最後の手を入れている。この一本を松明あかしの熾火とするために。