むじなの森へ
To: TATSUYA SATO
From: 益子透
Subject: 檄
Cc: 渡辺 登紀夫


我が友、佐藤君へ




   想像するに、たしかに戦場。
   物見遊山のつもりだったが
   明日は気を引き締めて陣中見舞いとします。

   浮世のしがらみで夜のうちに帰京するけど
   少しでも、涼風を運ぶ。

   湯治部のおれが動くと、気象も動くと
   あちこちで称賛されたこともあり。



   東京にいても、他の仕事先にいても
   目が覚めているかぎりジ・アース館のことが浮かぶ。

  
   いま全権は君の双肩にある。
   ひるむな。
   これは愛と勇気の物語をそれぞれの心のうちに刻むための
   気高い、そして千載一遇の戦いである。



   七月末の引き揚げのその時まで
   声嗄らし、汗の塩を舐めながら奮闘して欲しい。



   明日、昼前には森に到着予定。





            
         東京の潜伏むじな二匹