2001 06/01 20:06
Category : 日記
■《天声人語》 06月01日
都会育ちの子が、地方の親類の家に遊びに行った。田園地帯だが、夜、外が騒がしい。「どうしてこんなに遅くまで工事をしているの」ときくと、親類は「?」。しばらくして「あっ、あれはカエルの鳴き声よ」
田植えのあとの水田のカエルの合唱はにぎやかだ。聞き慣れた耳には気にならないが、都会っ子には騒音に聞こえてしまうのだろう。
カエルは何といって鳴いているのか。たとえば「なみかんた。りんり。」あるいは「くええく う ぐらびら とれも でる ぐりせりや ろとうる けえる ありたぶりあ」と。カエル語を聞きとる詩人草野心平(1903〜88)である。オノマトペア(擬音語)の楽しさを駆使した詩だ。題して「ごびらっふの独白」。これには「幸福といふものはたわいなくつていいものだ」に始まる日本語訳もつく。
専門家はどう聞き分けるか。『日本カエル図鑑』(文一総合出版)から。トノサマガエルは「グルルル」で、ヒキガエルは「クックックッ」が多く「キャララ」はヤマアカガエル。面白いのはダルマガエルで、関西では「ギギギギ」と鳴くのに、関東ではトウキョウダルマガエルと称して「ンゲゲゲゲ」と鳴く。
繁殖期のいま水田で鳴いているのはトノサマガエルなど5種類程度らしい。先日報じられた気象台の生物季節観測では、トノサマガエルが34府県で観測できなくなった。激減の恐れがある。
先の詩に登場した“ごびらっふ”ならば「るぐらりをうりりる」と語るだろうか。日本語試訳は「たわいないがたいへんだ」。
都会育ちの子が、地方の親類の家に遊びに行った。田園地帯だが、夜、外が騒がしい。「どうしてこんなに遅くまで工事をしているの」ときくと、親類は「?」。しばらくして「あっ、あれはカエルの鳴き声よ」
田植えのあとの水田のカエルの合唱はにぎやかだ。聞き慣れた耳には気にならないが、都会っ子には騒音に聞こえてしまうのだろう。
カエルは何といって鳴いているのか。たとえば「なみかんた。りんり。」あるいは「くええく う ぐらびら とれも でる ぐりせりや ろとうる けえる ありたぶりあ」と。カエル語を聞きとる詩人草野心平(1903〜88)である。オノマトペア(擬音語)の楽しさを駆使した詩だ。題して「ごびらっふの独白」。これには「幸福といふものはたわいなくつていいものだ」に始まる日本語訳もつく。
専門家はどう聞き分けるか。『日本カエル図鑑』(文一総合出版)から。トノサマガエルは「グルルル」で、ヒキガエルは「クックックッ」が多く「キャララ」はヤマアカガエル。面白いのはダルマガエルで、関西では「ギギギギ」と鳴くのに、関東ではトウキョウダルマガエルと称して「ンゲゲゲゲ」と鳴く。
繁殖期のいま水田で鳴いているのはトノサマガエルなど5種類程度らしい。先日報じられた気象台の生物季節観測では、トノサマガエルが34府県で観測できなくなった。激減の恐れがある。
先の詩に登場した“ごびらっふ”ならば「るぐらりをうりりる」と語るだろうか。日本語試訳は「たわいないがたいへんだ」。