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To: tojibu@c3.easyml.com
From: 益子透
Subject: [tojibu:00115] 山岡君へ


細胞は誕生と死を連続していく。
ぼくのこの一瞬をスチールして超拡大してのぞけば
猛烈な勢いで死滅していくぼく自身と、
猛烈な勢いで生まれ落ちていく細胞があるはず。

46億年前に太陽系の小さなエリアで起きた奇跡中の奇跡が
この宇宙の塵でできた変哲もない岩石の惑星に
生命のはじまりをつくった。

原始の海で、あてもなくさまよい続ける
何の意味もないただひとひらのミトコンドリア。
ぼくもきみも、この無意味なそれでいて素晴らしい奇跡の
その涯にいる。

きみの才能は、
そういうことのいちばんとんがったエッジにある。

エネルギーも才能も蕩尽したあとは空っぽになる。
回復の方法はただひとつ。休息すること。
泥のように眠り、食べたいものだけを食い、
いままででいちばん好きだったコトやモノを再体験すること。
君が海が好きなら海へ。
山を愛すなら山へ、一日でも一月でも半年でも
疲れたカラダと心をいたわってやること。
そうして給油されていく、満たされていく
エネルギーをぼんやりと見守ってやること。
ほほ笑みがもどって、力がみなぎるまで
そういう時間を自分自身に与えてやること。


きみの仕事への向かい方は
白刃の真剣を握ってひとり真っ向勝負を挑んでいるような
ところがあり、それは好ましいと同時に、
はらはらさせられる危うさを感じさせるものでもあります。
しかし、きみはたぶん、そういう方法以外に
自分を納得させられないのだとも思う。
そういう構えが、きみのきみらしい色使いやリズム、デザインを
つくっているのだと思います。
つまりそれが「山岡ブランド」なんだな。

そんなふうに感じています。


プライベートなことではあるけど
メーリングのやりとりに載ったことでもあるので
あえてここに書きました。