2010 08/21 18:27
Category : 日記
今年も、私が毎年楽しみにしている恒例の「納涼茂山狂言祭2010」を大阪の大槻能楽堂まで見に行ってきた。
狂言の茂山家と言えば京都の大蔵流の狂言で、人間国宝の茂山千作を頂点に、茂山千五郎家を中心とした人気の狂言家である。
いつも人気が高くてチケットも取りにくいのだけれど、特に夏に東京と大阪で行われる納涼茂山狂言祭は、リクエスト狂言とも言われて事前に行われたアンケートなどで狂言の曲目や演者が決められてるので人気が高く、ファンご好みの曲目や演者を見られると言うものだ。
今回の私が見に行った会は、昼の部で「蚊相撲」「月見座頭」「六地蔵」の三つである。
ところが、行ってみると演目の順番の変更と出演者の変更が書いてあった。
始めの予定では、「お話:茂山千三郎」「蚊相撲」「月見座頭」「六地蔵」となっていた。
それが「六地蔵」「お詫びとお話:茂山千之丞」「月見座頭」「蚊相撲」となり、蚊相撲の太郎冠者が茂山逸平さんから茂山茂さんへ、そして後見が島田洋海さんから井口竜也さんへと変更になっていたのである。
これは、後の茂山千之丞さんのお詫びとお話で詳しく説明されたのだが、簡単に言うとスケジュールの勘違いからダブルブッキングのようになってしまったのだそうだ。
この日は午後の部と夜の部があって、他に加古川で薪能の予定が入ったので、午前の部で空いた人を入れたそうであるが、本来は夜に行う薪能が午後のほぼ同じ時間に行われる事になっていたのである。
薪能と聞いて夜だと思い込んで、確認を怠ったのが原因で、それで何とか演目の順番や出演者を変えてやりくりしたそうであるが、茂山宗彦さんがNHKのドラマ等で人気で、どちらの出演者からも外せなくなり、それで納涼狂言祭の一番目に宗彦さんの出る六地蔵を持ってきて、終わり次第タクシーで薪能の方へ駆けつけることになったようだ。
また、その関係でお話を予定してた茂山千三郎さんが薪能の方へ出演する事になり、代わりに茂山千乃丞さんがお詫びとお話をする事になったのである。
そういうことで、本来なら始めにお話しがあってから狂言に入るのが筋なのであるが、六地蔵を始めに終わらせてからお詫びとお話と言う異例の形になってしまったようである。
茂山千三郎さんが大好きで、お話を楽しみにしてたので聞けなくなったのは残念であるが仕方ないよね。
○六地蔵
田舎者:茂山童司
すっぱ:茂山宗彦・増田浩紀・山下守之
後見:茂山茂・鈴木実
田舎者が辻堂に安置する六地蔵を仏師にたのもうと都にやってくる。
都についたものの仏師の居所がわからずに困っているところへ、すっぱ(詐欺師)が声をかけて来た。
すっぱは事情を聞くと田舎者を騙そうと思い、自分こそが仏師だと騙り、翌日までに六地蔵を作ってやろうと請け負った。
すっぱは、仲間の二人を誘って六地蔵に化けて田舎者を騙そうとするのであった。
翌日になり、田舎者が六地蔵を受け取りに行くと、因幡堂の後堂と脇堂に三体ずつ置いてあるという。
それで田舎者が六地蔵を見に行くと・・・・
狂言で、人が仏像やお地蔵様になりすます曲はいくつかあるが、これは六体の地蔵を三人でなりすますのだから、はじめから無茶なのだが、そこを面白くごまかそうとするのが面白いね。
地蔵を見に行くたびにポーズが変わってしまっていて、それをごまかそうとしてるのが何とも面白いドタバタの狂言で爆笑しながら見ていたよ。
○お詫びとお話 茂山千乃丞
今回の演目の順番変更と出演者変更の説明とお詫び、それから本日の演目の解説。
○月見座頭
座頭:茂山千五郎
上京の男:茂山七五三
後見:井口竜也
中秋の名月の夜。
下京の座頭(盲人)が河原に月見に出ると、そこへ上京の男も月見にやってきた。
男は座頭が月見とは風流だと話しかけ、二人で和歌を披露したり酒を酌み交わしたりして親しくなる。
酒宴を楽しんで、やがて二人は別れてそれぞれ帰っていくが、上京の男はふと気が変わり、別の男のふりをして座頭に突き当たると声を荒げて喧嘩をしかけて座頭を突き倒して去っていった。
座頭は相手が同じ男だとは気が付かずに、世の中にはいろいろな人がいると盲目の身や世のせつなさを嘆くのだった。
この狂言は、盲人を扱った作品であり、前半の座頭と男が親しく和やかな様子から、後半は一転して男が別人の振りをして座頭をいたぶる所など、人間の善悪の怖さや残酷さも現している狂言である。
茂山千五郎さんと茂山七五三のベテラン兄弟による熱演で良かったよ。
○蚊相撲
大名:茂山千之丞
太郎冠者:茂山茂
蚊の精:茂山あきら
後見:井口竜也
大名は、相撲取りを召抱えようと思い、太郎冠者に探して来るように命じた。
太郎冠者は街道に出て適当なものが来ないか待っているところへ、江州守山の蚊の精が人間の血を吸おうとやってくる。
蚊の精は、自分は相撲取りだと太郎冠者に偽り、その正体を知らない太郎冠者は相撲取りだと思って連れて帰った。
大名は喜んでさっそく相撲取りの腕前を見るために自ら相手をするが、蚊の精が大名を刺して血を吸ったので眩暈をおこして倒れそうになってしまう。
不審に思った大名が太郎冠者に相撲取りの出身地を確かめると江州守山の蚊の産地なので、相手が蚊の精だと気が付くのであった。
そこで、蚊の精をこらしめようと大名は太郎冠者と相談して、もう一番取り組むことになるが・・・
この狂言は、蚊の精と相撲とる所が見せ場であるが、蚊の精は「うそふき」と言う面をつけて、細長い口ばしのような物をつけるのが、それらしく見えたりする。
茂山あきらさんの演じる蚊の精も可笑しくて、ほのぼの楽しい狂言である。
夏の納涼茂山狂言祭は、これまでにも火災で電車が止まったりとかいろいろとトラブルがあったりして油断がならなかったりするのだが、今年も大きなトラブルをやってくれましたね。
今回は楽しみにしていた茂山千三郎さんを見れなかったのは残念であるが、それでも充分楽しめたよ。
もう何年目になるのかな、また、来年も見に行きたいな。
狂言の茂山家と言えば京都の大蔵流の狂言で、人間国宝の茂山千作を頂点に、茂山千五郎家を中心とした人気の狂言家である。
いつも人気が高くてチケットも取りにくいのだけれど、特に夏に東京と大阪で行われる納涼茂山狂言祭は、リクエスト狂言とも言われて事前に行われたアンケートなどで狂言の曲目や演者が決められてるので人気が高く、ファンご好みの曲目や演者を見られると言うものだ。
今回の私が見に行った会は、昼の部で「蚊相撲」「月見座頭」「六地蔵」の三つである。
ところが、行ってみると演目の順番の変更と出演者の変更が書いてあった。
始めの予定では、「お話:茂山千三郎」「蚊相撲」「月見座頭」「六地蔵」となっていた。
それが「六地蔵」「お詫びとお話:茂山千之丞」「月見座頭」「蚊相撲」となり、蚊相撲の太郎冠者が茂山逸平さんから茂山茂さんへ、そして後見が島田洋海さんから井口竜也さんへと変更になっていたのである。
これは、後の茂山千之丞さんのお詫びとお話で詳しく説明されたのだが、簡単に言うとスケジュールの勘違いからダブルブッキングのようになってしまったのだそうだ。
この日は午後の部と夜の部があって、他に加古川で薪能の予定が入ったので、午前の部で空いた人を入れたそうであるが、本来は夜に行う薪能が午後のほぼ同じ時間に行われる事になっていたのである。
薪能と聞いて夜だと思い込んで、確認を怠ったのが原因で、それで何とか演目の順番や出演者を変えてやりくりしたそうであるが、茂山宗彦さんがNHKのドラマ等で人気で、どちらの出演者からも外せなくなり、それで納涼狂言祭の一番目に宗彦さんの出る六地蔵を持ってきて、終わり次第タクシーで薪能の方へ駆けつけることになったようだ。
また、その関係でお話を予定してた茂山千三郎さんが薪能の方へ出演する事になり、代わりに茂山千乃丞さんがお詫びとお話をする事になったのである。
そういうことで、本来なら始めにお話しがあってから狂言に入るのが筋なのであるが、六地蔵を始めに終わらせてからお詫びとお話と言う異例の形になってしまったようである。
茂山千三郎さんが大好きで、お話を楽しみにしてたので聞けなくなったのは残念であるが仕方ないよね。
○六地蔵
田舎者:茂山童司
すっぱ:茂山宗彦・増田浩紀・山下守之
後見:茂山茂・鈴木実
田舎者が辻堂に安置する六地蔵を仏師にたのもうと都にやってくる。
都についたものの仏師の居所がわからずに困っているところへ、すっぱ(詐欺師)が声をかけて来た。
すっぱは事情を聞くと田舎者を騙そうと思い、自分こそが仏師だと騙り、翌日までに六地蔵を作ってやろうと請け負った。
すっぱは、仲間の二人を誘って六地蔵に化けて田舎者を騙そうとするのであった。
翌日になり、田舎者が六地蔵を受け取りに行くと、因幡堂の後堂と脇堂に三体ずつ置いてあるという。
それで田舎者が六地蔵を見に行くと・・・・
狂言で、人が仏像やお地蔵様になりすます曲はいくつかあるが、これは六体の地蔵を三人でなりすますのだから、はじめから無茶なのだが、そこを面白くごまかそうとするのが面白いね。
地蔵を見に行くたびにポーズが変わってしまっていて、それをごまかそうとしてるのが何とも面白いドタバタの狂言で爆笑しながら見ていたよ。
○お詫びとお話 茂山千乃丞
今回の演目の順番変更と出演者変更の説明とお詫び、それから本日の演目の解説。
○月見座頭
座頭:茂山千五郎
上京の男:茂山七五三
後見:井口竜也
中秋の名月の夜。
下京の座頭(盲人)が河原に月見に出ると、そこへ上京の男も月見にやってきた。
男は座頭が月見とは風流だと話しかけ、二人で和歌を披露したり酒を酌み交わしたりして親しくなる。
酒宴を楽しんで、やがて二人は別れてそれぞれ帰っていくが、上京の男はふと気が変わり、別の男のふりをして座頭に突き当たると声を荒げて喧嘩をしかけて座頭を突き倒して去っていった。
座頭は相手が同じ男だとは気が付かずに、世の中にはいろいろな人がいると盲目の身や世のせつなさを嘆くのだった。
この狂言は、盲人を扱った作品であり、前半の座頭と男が親しく和やかな様子から、後半は一転して男が別人の振りをして座頭をいたぶる所など、人間の善悪の怖さや残酷さも現している狂言である。
茂山千五郎さんと茂山七五三のベテラン兄弟による熱演で良かったよ。
○蚊相撲
大名:茂山千之丞
太郎冠者:茂山茂
蚊の精:茂山あきら
後見:井口竜也
大名は、相撲取りを召抱えようと思い、太郎冠者に探して来るように命じた。
太郎冠者は街道に出て適当なものが来ないか待っているところへ、江州守山の蚊の精が人間の血を吸おうとやってくる。
蚊の精は、自分は相撲取りだと太郎冠者に偽り、その正体を知らない太郎冠者は相撲取りだと思って連れて帰った。
大名は喜んでさっそく相撲取りの腕前を見るために自ら相手をするが、蚊の精が大名を刺して血を吸ったので眩暈をおこして倒れそうになってしまう。
不審に思った大名が太郎冠者に相撲取りの出身地を確かめると江州守山の蚊の産地なので、相手が蚊の精だと気が付くのであった。
そこで、蚊の精をこらしめようと大名は太郎冠者と相談して、もう一番取り組むことになるが・・・
この狂言は、蚊の精と相撲とる所が見せ場であるが、蚊の精は「うそふき」と言う面をつけて、細長い口ばしのような物をつけるのが、それらしく見えたりする。
茂山あきらさんの演じる蚊の精も可笑しくて、ほのぼの楽しい狂言である。
夏の納涼茂山狂言祭は、これまでにも火災で電車が止まったりとかいろいろとトラブルがあったりして油断がならなかったりするのだが、今年も大きなトラブルをやってくれましたね。
今回は楽しみにしていた茂山千三郎さんを見れなかったのは残念であるが、それでも充分楽しめたよ。
もう何年目になるのかな、また、来年も見に行きたいな。