2010年02月の記事


古代カルタゴとローマ展
先日、京都の文化博物館に「古代カルタゴとローマ展」を見に行っていた。

これは現在のアフリカ最北端に位置し、地中海に面したチュニジア共和国に今から2800年前にフェニキア人によって建設されて繁栄したカルタゴの美術品や出土品を展示した展覧会である。

カルタゴは、地中海に面して当時の世界との貿易や交流で独自の文化を開花させ、その後、ローマ帝国との抗争の中での興亡で、やがてローマの文化を取り込んで影響されていく。

いろいろな展示品が素晴らしいのだけれど、特に伝説の英雄ハンニバルの軍関連で唯一の遺物の鎧が感動物。

また、巨大なモザイクも面白かった。

古代文明の遺品に触れられて楽しかったよ。

また常設展の方で雛人形も少し展示されてて良かったよ。
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梅が見頃
今日は朝から雨降りのお天気だね。

今週は暖かくて暑いくらいの陽気だったし、そろそろ梅の花も見頃かなって思って、雨の中を京都の伏見区にある城南宮まで梅を見に行って来た。

城南宮といえば方除(ほうよけ)の神社として有名で、特に神苑で行われる曲水の宴は季節の風物詩として、マスコミに取り上げられる事も多い。

その城南宮には有料(500円)の神苑と言う庭園があり、源氏物語・花の庭として季節の花を楽しめる庭園になっている。

神苑に入ってすぐの春の山は梅園になっていて、たくさんの梅の木が植えられている。

その春の山の梅の花は満開を迎えていて、白い梅とピンクの梅で別世界のような美しさ。

雨が降っているのも忘れて、梅の花と香りを楽しめたよ。
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携帯の少し怖い話
これは私が実際に体験した少し不思議な話である。

今まで解消されるまではと語らずに来たのだけれど、どうやら落ち着いたようなので、語る事にした。

それが始まったのは昨年の秋頃からであった。
私の携帯電話からチリンと鈴のような音がするようになったのである。

私も始めは気がつかなかったし、気がついてからもストラップが何かに当たって鳴ってるのだろうと思っていた。

それが変だぞと思いだしたのは、朝のバス停でバスを待っている時である。

携帯をたまたま手に持っている時にチリンと鳴ったのである。

携帯は手に持っているしストラップも何にも当たっていない、なぜ鳴るのだろうと疑問に思い始めたのだった。

そうして考えはじめると、どう考えてもチリンと言う音がするはずがないのである。

携帯には鈴のような音は入ってないし設定もしていない、元々から着信音以外は無音にしているし、携帯の中には鈴のような音はいっさい無いのである。

ストラップも、小さな蜻蛉玉を芯に紐を通して繋げた物で、一見すると鳴りそうにも見えるが紐が通っているし、玉同士が当たっても、玉と携帯が当たってもカチカチとしか音がしないで、チリンと言う音はいっさいしないのである。

そうして考え出して、いくら考えても携帯からチリンと言う音がするはずがない。

そこで、どういう状況で鳴るのか気にして見たが、これがあらゆる状況で鳴り出すし、チリンと一度だけの時もあれば、チリンチリンと二度鳴るときもあるし、何度もなり続ける時もある。

机や布団の上に置いたままで何も触りも触れもしてなくても鳴った時はさすがに気持ち悪かった。

いろいろと考えた結果、もしかしたら携帯に何かの霊か何かが獲り憑いたのではないかと言う風に思えてきたのだった。

そう思って聞くと、チリンと言う音は何となく女性の姿が連想させて哀しそうな音色に聞こえるのである。

私は、もともと霊とか見たり聞こえたりはしないが、雰囲気を感じることは多くて、夜中に金縛りにあったり、何かの雰囲気を感じて怖くてたまらなくなったり、後ろに人が居ると思って振り返ると誰も居ないという事が割りと多い方である。

それで、確信は無いものの、もしかすると女性の霊でも携帯に憑いて、チリンチリンと鳴らして何かを訴えてるのかも知れないと思うようになった。

また、そう思うようになってから携帯が鳴る回数が増えてうるさいくらいの時もあった。

それだけではなく、その頃から部屋に積んである本とか物が突然崩れたり倒れたりする事も増えて来た。

一度など、出勤のために玄関で靴を履いていると、突然部屋の中で物が倒れ出して、また靴を脱いで部屋に戻った事もあった。

あまり、チリンチリン鳴るので線香を焚いて水を供えたらピタリと鳴り止んだりもした。

まだ霊かどうかは半信半疑だったが、どうしようと考えて、お寺とかに行った時に、もしも霊が居るなら成仏してもらうようにお祈りするようにすることにした。

普通は、こういう場合は神社とかで祓うのが良いのだと思うのだが、チリンと言う音が哀しそうな女性を思い浮かべさせたので、祓ってしまうよりも、成仏できるように道を探してあげる方が良い様に思えたのである。

私は、もともと神社やお寺に行く事も多いので、お寺ではお参りする時に携帯を両手で包んで拝むようにして、成仏してくださいと祈るようにしたのである。

それで、凄かったのが、やり始めの頃で、京都の今熊野観音寺に紅葉の写真を撮りに行って帰りに本堂で、携帯を両手で包むようにしてお祈りした時である。

両手で携帯を挟んで包み込んでいるにもかかわらず、お祈りし出すと携帯がチリンチリンと凄い勢いで鳴り出して止まらなくなったのである。

お祈りを終えてしばらくすると鳴り止んだが、さすがにこの時は戦慄した。

そうして、お寺とかに行くと、必ず携帯を持ってお祈りする日々が続いていたが、先日に嵯峨野に行った辺りからお祈りが通じて成仏したのか、突然鳴らなくなったのである。

こうして、チリンと言う音も、部屋で物が倒れる事もなくなって、ようやく最近になって安心できるようになったのだった。

ほんとうに霊が関係していたのか、それとも何かの要因でチリンと鳴っていたのかは、私のも今でも判らないと言うのが本音である。

また、何によって鳴らなくなったのかも判らないし、部屋のものが倒れたのも単なる偶然かも知れない。

しかし、どう考えても鳴るはずの無い音が鳴って、悩まされ続けたのは事実である。

今は、二度と携帯からチリンと鳴らないように願うばかりである。
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弘法さん
今日は21日で、京都の東寺では月に一度の弘法さんと言うガラクタ市が開かれる日だ。

久しぶりに、お休みと弘法さんの日が重なったので、私も朝から買い物に出かけてきた。

弘法さんは、弘法大師の月命日にあたる21日に毎月開かれる市で、境内いっぱいに千軒以上とも言われる露店がならび、骨董品から手作りのお人形や植木類、いろいろな食べ物や衣類などあらゆるものが売られているのである。

全国的にも有名で、遠方や海外からのお客さんも多いと言う。

私も実家の近くだし、中学時代は通学路だし、子供の頃から馴染みであったし、今でも都合が合えばよく買い物に訪れている。

今日も、日曜日と重なったので朝から多くの人が買い物に訪れていた。

私も境内を見て周りながら、ほうじ番茶(500円)・辛子のお漬物(300円)・赤カブの千枚漬けとミックス漬け(二つで500円)・干し柿(500円)・手作り置物(500円)・おかき(三袋500円)・サンザシ(120g1200円)手作り布ポーチセット(250円)・人形付きペットボトルカバー(700円)などなどいろいろと買って帰った。

単価が安いので、ついつい買いすぎてしまうんだよなぁ。

手作りのお漬物もいろいろと買ったので、またしばらくお漬物の日々が続くね、まぁダイエットになって良いけどね。
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梅宮大社
今年もそろそろ梅が見頃になったかなと思ったんだけど、ここの所の寒さで開花が止まった感じだね。

それでも、梅を見に行って見ようと、今年も京都の梅宮大社まで行って来た。

梅宮大社は右京区の松尾の近くの梅津にある古社で酒造りと子授けや安産で知られており、特に子授けの御利益が有名で、神殿の前にあるまたげ石と言う神石をまたぐと子宝に恵まれると言われ、有名人を初め多くの人に信仰されていると言う。

また、梅宮の名前の通り、梅の名所としても知られており、境内にも多くの梅が植えられているが神苑には梅園など多くの梅が楽しめるようになっている。

神苑には梅の他にも季節の花が植えられており、中でも池中亭茶室は「芦のまろ屋」と呼ばれる建物で、大納言・源経信が読んだ和歌で百人一首にもある「夕されば門田の稲葉訪れて、芦のまろやに秋風ぞ吹く」と詠んだ芦のまろやと言う建物は、この梅津の地に現在に残る唯一の物だそうである。

私は、この梅宮大社がお気に入りで、毎年梅の時期になると訪れている。

梅の花は、早咲きの梅は見頃だが、他の梅はまだ蕾でこれからなのが残念だったよ。
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藤田まことさん
藤田まことさんが逝去された。

子供の頃から「てなもんや三度笠」とか見てた記憶があるし、やはり関西だと言う事で親しみがあった。

子供の頃に見てた深夜の少しエッチな番組の司会をされてたのも覚えている。

でも、やはり必殺仕置人で中村主水を演じられたのが印象深くて、その後の必殺仕事人のシリーズで大人気となったね。

ちなみに、私は必殺シリーズでは、仕置人が一番好きでDVDも持っている。

いろいろと藤田まことさんへの思いは多いのだけれど、一番好きだったのは「京都殺人案内」のシリーズである。

京都が舞台と言うのもあるけれど、登場人物の人間関系とかキャラクアーとかも良かったなぁ。

関西では、今でも古い作品を時々再放送してて、私もDVDで保存するようにしていた。

京都殺人案内は、まだ続いていたし楽しみだったのに、もう見れないと思うと寂しいよ。

いろいろと思いが募ってきて哀しいけれど、今は静に御冥福をお祈りしたいと思う。
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あだしの まゆ村
昨日がお仕事だったので、今日はお休みになった。

それで、京都の嵯峨野を散策してきた。

実は、昨年のバレンタインデーの日も嵯峨野に行っていて、奥嵯峨野の化野にある「あだしの まゆ村」と言う繭人形のお店に立ち寄って、その繭人形がすっかり気に入ってしまった私。

店員さんも気さくで親切であり、お茶をいただいたり、いろいろとお話させていただいたりして和んでしまい、繭人形を買った帰りには女性の店員の方からバレンタインデーのチョコまでいただいて観劇して、私のお気に入りスポットになったのだった。

それ以来、嵯峨野に行くと時々お店まで足を運んではお話したり、繭人形を買ったりするようになったのである。

今日の京都は小雨の降るお天気だったけれど、それでも昨年のバレンタインデーのチョコのお礼の意味もあって、「あだしの まゆ村」まで足を運んだのだった。

お店は、化野念仏寺の参道にあり、参道に面した小さなお店と、石段を上がった所にあるお店と二つあり、上のお店の方が広くてお人形も多く展示してある。

お店には男の店員さんと女性の店員さんがいるのだが、ちゃんと私を覚えていてくださって、またお茶をいただきながらいろいろとお話させていただいた。

このお店の繭人形は職人さんが一つ一つ手作りされてるので、それぞれに仕種や表情が違っていて、それがまた味になっている。

繭玉で作っているので柔らかくて暖かい雰囲気が心を和ませてくれる気がするんだよね。

マスコミとかで取り上げられる事も多いそうで、私のようにこのお店のファンだと言う人も多いと言う。

私は今回は雛人形と、見て可愛かった小鳥の親子の人形を買って帰ったよ。

それで、いろいろと昨年のお話をしたりしてると、何と今年もチョコをいただいてしまって大喜びの私だよ♪

帰りには、下の参道まで見送りに出ていただいて、その心遣いがうれしいね、やはりお店って店員さんの人柄に印象が良いと、また次も来ようって思ってしまう。

今日は、他にも愛宕念仏寺や二尊院とかも周り、私の大好きな鶴屋寿のさくら餅も買って来た、ここのさくら餅はほんとに美味しくて嵯峨野に行くとたいてい買うよ。

最後に、前から気になっていた百人一首の時雨殿にも行ってみたけれど・・・少し期待はずれかな、百人一首は好きなんだけどね。

と言う事で、ずっと小雨が降ったり止んだりのお天気だったけれど、久しぶりに「あだしの まゆ村」に行けて癒された気分だった。
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アバター
話題の映画「アバター」をイオン大日に見に行って来た。

本当はDVDが出てから見ればいいかって感じだったのだけど、話題になっるし、やはり3Dだから大きなスクリーンで見たいなと思い、思い切って見に行く事にした。

メガネを架けて見るタイプの3D映画で、劇場の入り口で3Dメガネを無料で渡してくるが、売店ではメガネの人用の3Dグラスも売っていて(300円)買って見たが、メガネにはめ難くくて壊れてしまったので、結局普通の貰った方の3Dメガネで見る事になった・・・何やってんだろ私。

映画は、やはり話題になるだけあって面白かったよ、3Dもきれいに見れて良かったし、目も疲れなかった。

映画は、すごい良くできててCGとかも凄いネ、クリーチャーとかほんとによく出来ている。

出演者も主演のサム・ワーシトンも良かったけど、ヒロイン役のゾーイ・サルダナが良い感じだったね、確かスター・トレックで若き日のウフーラをやってて印象に凄く残ってたからうれしかった。

女性パイロット役のミシェル・ロドリゲスがすごく良い味だしてたね♪

あと、キャメロン監督でSF映画で、シガニー・ウィーバーが出てると言う事で、エイリアンを思い出してニンマリしてしまったよ、映画の中のセリフでも「エイリアン」とか出てきたしね。

見終わって面白かったし、ここまでできるのが凄いなぁって思えた映画だったよ、ぜひとも大きなスクリーンで3Dで見て欲しい映画だよ。
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鬼の災難
「鬼の災難」


(これは狂言の「節分」を原案にして私が書き起こした物です)

むかし、あるところに仲の良い夫婦がおりました。

ところが、旦那さんは、出雲のお社にお参りに行く事になり、奥さんは一人で留守を守ることになりました。

今日は節分の日です、奥さんは節分の豆を用意して神棚にお供えし、夜になって豆まきをするのを待っておりました。

そんな所へ現れたのが蓬莱の島からやってきた鬼一匹。

鬼は、お腹が空いたので何処かに食べ物がないかとうろつくうちに一軒の家の灯りが目につきました、その家こそ奥さんが留守を守る家だったのです。

鬼は、家の前まで来ると節穴から中を覗きました、すると、中には美しい女が一人でいます。

「これは良いわい」

鬼はそう思うと、家の戸をドンドンと叩いて

「こんばんわ、開けてください」

と家の中に呼びかけました。

奥さんは、突然の事で驚きましたが、なんだろうと思いましたが一人なので無用心です。

「今は主は留守にしています、御用は何でしょう?」

と、戸を開けずに問い掛けました。

鬼は、

「近所の者でござる、ここを開けてくだされ」

そう言って、ドンドンと戸を叩き続けました。

奥さんは、近所の人が何の用だろうと思い、戸を少し開けて見回して見ましたが誰の姿もありません、これは近所の若い者がイタズラでもしてるのかと思い、戸を閉めてしまいました。

鬼は、人に姿を見られないように「隠れ蓑」を着けたままだったので、姿が消えていたのです。

鬼は気が付いて「隠れ蓑」を脱ぐと、もう一度戸を叩いて呼びかけました。

奥さんは、また誰かのイタズラかと思い、

「先ほど様子を見ましたが誰もいませんでした、おおかた何方かがイタズラされてるのでしょう、お帰りください」

そう言って戸を固く閉じたのでした。

鬼は何とか開けさせようと思い

「いやいや隣の者でござる、イタズラではございません、用事がございますので戸を開けてくだされい」

奥さんは、隣の方なら開けない訳にもいかないと思い戸を開けますと、そこには恐ろしい鬼が立っています。

「きゃ~鬼が出た、恐ろしや恐ろしや」

そう叫ぶと奥に逃げ込んでしまいました。

鬼は、うろたえて

「いやいや恐ろしい事はござらん、御安心くだされい」

そう言いましたが、奥さんは

「鬼が恐ろしくない訳はございません、恐ろしや、恐やの恐やの」

そう言って身構えています。

「鬼にもいろいろとござって、私は恐くない鬼ですから大丈夫でござる」

鬼は、そう言うと奥さんに近づいて行きました。

奥さんは、鬼が側に来たので恐ろしく思いましたが、もともと気が強くて肝の座った人でしたから、側にあった箒を持つと

「ええ側に来ないでください、出て行ってください」

そう言うと箒で鬼を追い払おうとしました。

実はこの鬼、女好きな所があるのですが、少し気が弱い所がありまして、奥さんに箒で追い立てられて困ってしまいました。

「なんとなんと、出て行けと言われるなら出ても行きまするが、腹が減ってどうにもなりませぬ、せめて何か食べ物をいただいたら出て行きまする」

そう言って座り込んでしまいました。

奥さんは、早く追い払おうと思い、仕方なくお粥を用意して持って来ました。

「さぁ、これを食べたらさっさと出て行ってくださいませ」

そう言うと鬼にお粥の器を差し出しますと、鬼は受け取ってガツガツと食べ始めました。

「これは暖かくてうまいわい」

そう言いながら、ふと奥さんの姿を見ると美しくて色気のある艶かしさです。

鬼は、すすっと奥さんの側に寄ると手を握ろうとしました。

奥さんは、驚いて両手の爪で鬼の顔中を掻き毟ると

「あれ~、この鬼め何をする、出て行け、出て行け」

そう言って、また箒で鬼を追い始めました。

鬼は、出口まで追い立てられると

「いやいや、待ってくれ、そなたはこの家に一人かえ?」

そう聞きました。

奥さんが

「余計なことです、それを聞いてなんとする」

そう言いますと、鬼はいやらしく笑うと

「ふふふ、一人なら寂しかろうほどに、わしが慰めてやろう」

そう言って奥さんに近づいて腰に抱きつきました。

奥さんは、鬼の顔を思い切り張り倒すと、鬼を引き離し、箒を持つとボコボコと鬼を叩き廻しました。

「あ痛ぁ、あ痛ぁ、ちょっと待ってくだされ、止めてくだされ」

そう言うと鬼は、また出口まで逃げると叩かれた痛さで半べそになっています。

「そなたの姿があまりに美しいから、つい手がでただけじゃ、許してくだされぃ」

鬼は、そう言い訳すると涙を浮かべています。

奥さんは、それを見て考えました。

「あれあれ、鬼が涙を浮かべている、この鬼は案外と気が弱いのかも知れない、鬼の目にも涙と言う言葉もあるし、どうやら私に懸想しているようだ、昔から鬼はいろいろと宝物を持っていると聞く、それならうまく鬼を騙して宝物を取り上げてやろう」

そう思うと、少ししなを作って鬼に語りかけました。

「まぁ鬼さんたら、そんなに私を思ってくださるの?」

鬼は、風向きが変わったのに驚きながらも言いました。

「わしは、人間の女でこんなに美しい女は初めてじゃ、なんとか思いを適えてくれぃ」

奥さんは、それを聞くと流し目で秋波を送ると

「昔から鬼は宝物を持つと聞きます、そんなに私を思うなら私にそれをくださいませ、気持ちを見せてくださいな」

そう鬼に向かって言いました。

鬼は、それを聞くと喜んで

「おお、いかにも鬼は宝物を持っている、打出の小槌と隠れ蓑、雲に乗れる笠の三宝じゃ、これをそなたに渡すから思いを適えてくだされぃ」

奥さんは、鬼から宝物を受け取ると、それを奥に押し隠しました。

鬼は、うれしそうに笑うと、奥さんの側にすっと近づき

「えへへへ、これで、そなたはわしの思いのままじゃ、それ、もっとこちらへ寄りなされ」

そう言って笑顔を浮かべています。

「まぁまぁ、焦らずに用意をしますので少しお待ちを」

そう言うと、奥さんは神棚に行くと、供えてあった節分の豆を手に取りました。

鬼が、物問いたげな顔でいますと、奥さんは

「今夜は節分の夜、もう豆まきの時刻です」

そう言うと、豆を掴み

「福は内ぃ~、福は内ぃ~」

と、豆を家に蒔きました。

さぁ、鬼は驚きました、なにしろ節分の豆は鬼には大の苦手です。

「おお、なんじゃこりゃ」

そう言って鬼が豆から逃げようとすると、今度は奥さんは豆を鬼に向かって投げつけ

「鬼は外~、鬼は外~」

そう叫んで鬼を追いまわします。

鬼は逃げ回りますが、豆は体に当たって痛くてたまりません。

「鬼は外~、鬼は外~、鬼は出て行け~」

奥さんは、鬼に目掛けてバシバシ豆を投げつけます。

「うわぁ~、これはかなわん」

そう言うと鬼はとうとう逃げ出してしまいました。

奥さんは、逃げ出した鬼に目掛けて豆をさらに投げつけると、家の戸をきちりと締め切り戸締りをしました。

こうして、奥さんは鬼を追い払った上に、鬼の宝物まで手にいれて、しかも一人で鬼から操を守って追い払った賢い婦人として褒め称えられ、やがて戻ってきた旦那さんと裕福に幸せに暮らしました。

それに引き換え、鬼の方は宝物を取られた上にさんざん豆をぶつけられて痛い思いをした上に鬼の仲間内からも馬鹿にされて、人間の所は二度と懲り懲りと思うのでした。

おしまい・・・
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節分
2月3日は節分である。

もともとの節分とは、「節分かれ」(せちわかれ)といって季節が変わる節目のことで、立春の前日をさすと言う。

本来の節分は、冬から春への変わり目になり、季節が変わる大切な節目としていたが、今では外から邪気や悪魔が入ってくるのを防ぐようになり、庭からくる鬼に大豆を投げつけて追い払うように変わっていった。

節分と豆まきについては京都にこういう話が残されている。

むかしむかし、洛北にある「深泥池」(みどろがいけ)には「豆塚」という塚があったとされ、平安京の北には鬼たちが夜になると出没し悪さをして人々を困らせていたと言う。

この鬼たちは洛北の貴船の谷に住み、地下道を通って深泥池の畔の穴から地上に出て騒いでいたそうだ。

そこで困った人々は、鬼を退治するために鬼が嫌っている豆を投げ入れたところ、鬼は静かになり出てこなくなり、それ以来、鬼の出入りする穴に節分の豆を捨てるようになったとされ、これが節分に豆をまいて、鬼を追い払うことの始まりだと伝えられている。

何でも、この鬼の穴の跡に豆塚があったとされていて、それが近くの貴船神社ではないかと言う説があるそうだ。

ところで、豆を投げられ追い払われた鬼たちは、奈良の吉野の金峯山寺に暖かく迎えられていたそうで、そこで鬼火の祭典で今までの悪行を改心すると、「良い鬼」になっていったと言う。

その事から、この金峯山寺では「福は内、鬼も内」と、ほかとは違ったかけ声で豆まきが行われるとされている。

豆については他にも諸説があり、鞍馬山の毘沙門天が大豆で鬼の目を打てと命じられたと言う話に由来して、鬼の目を打つので「魔目」(まめ)と言う説、また魔を滅する「魔滅」(まめつ)から豆にになった説などがある。

また、豆を枡に入れて撒くことも縁起の良いことだそうで、枡はもともと米や酒を計量するのに用いられていたもので、公明正大な神の力を象徴しているそうだ。

その枡に豆を入れる事で神の力が豆にも宿り、鬼や疫病を祓う力にもなると言う。

なお、豆を撒いた後に豆を食べるのは、年齢の数より一つ多く食べるのが風習になっているそうだ。

他に、鰯を焼いて、鰯の頭を柊の枝に刺して門口に刺す風習もあるが、これは鰯を焼いた煙や匂いで鬼を追い払い、また柊の棘で鬼の刺して退散させる意味があると言う。

なお、関西では恵方巻きと呼ばれる太巻寿司を1本、切らずにそのままその年の恵方の方角(今年は西南西)に向かって無言でかぶりつくと1年間良いことがあると言う風習がいつからか出来ている。

もともとは大阪商人が商売繁盛を祈願して始まったとか諸説あるが、近年になっての流行は、海苔の販売促進のためにお寿司屋さん等が巻き寿司を売るために広めたとも言われている。

関西では、かなり広がって恒例になっているが、最近は関西だけでなく全国的にも広がってきてるようである。
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