2023年01月の記事


お父さん




捨てた故郷の屋敷跡に、今も残っているでしょうか。
ずっと我が家を見守っていた父の植えた桐の木。

お正月に産まれお正月に亡くなった父。
物静かで商人には合っていなかった。

父は健康で一度も風邪で寝込んだ事も無く、
年中無休で御店を開けていたと思う。

暇を見計らい庭に梅を干したり、植木の手入れしたり、
兎に角豆に動いていたが農業は好まなかった。

母の実家が地主で子供達に田畑を分けてあげたり、
五人の子供全員に祖父が家を建てゝくれた。

父だけが「農業しないから田畑は要らない。」
土地を貰わなかった。

高崎市街中の商家に産まれ育った父は母の家に
お婿さんに来たようなものだった。

私は母より父が大好きで何時も一緒に
御店の手伝いをしたが気の毒な立場を分かっていた。

私は一日も両親を忘れず必ず供養し祈願している。
晴れた日に父に似た真っ白い雲を見る度、

「おとうさん!」追い駆けるように笑顔で
話しかけている。「いつも守ってくれ有難う。」
感謝している。

どんな極貧生活を送っても父が選んだ人生、
父には父の生き方があった事を悟った。

鳥達が夕暮れ時に山へ帰るように、
鳥には鳥の生き方があるのね。

私には私の生き方があると思う。
笑われようが真実のある場所で生きてゆきたい。
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初詣


夜明けが遅い沖縄の冬の朝は午前七時頃、
東の空が茜色に染まる。

私は余程身体が疲れていない限り
午前5時に目覚め起床している。

主人の起床が遅い為、先に朝食を済ませてから
PCを開けるものの短い時間で閉じるよう
心掛けている。

笑顔を絶やさぬ優しい友達が宮古島へ
両親の介護に故郷へ行ってしまい寂しくて堪らない。

彼女は、定年退職しても生後病院に一度も診察した事のない
健康な女性で血液型も知らず、身体の事は分からない。

美容師と言う職業故、移る病気やワクチンは受けている。
「自分のことを知るのが怖いのよ。」何時もこう言う。

風邪で高熱が出た時も市販の風邪薬を飲んで、
ぐっすり眠れば治るひとである。

一生独身主義であれほど黒髪が多い人も珍しく、
やゝ太り気味だが円らな瞳が光り凄く可愛い。

人の嫌がる事をやり、傍に苦しむ人が居たら
付き添ってあげる、兎に角優しい。

誰にも好かれる彼女は二月中旬の旧正月迄
浦添市に帰って来ない。

今日は護国神社に初詣に出かけたものの、
コロナ前より混雑はしていない。

一年を通し両親に手を合わせている時と
同じような事を心の中で祈願して帰宅した。

何時もの散歩道に着いた時、温暖な沖縄にも
冬が来たのだわ。

そう思わせる風の冷たさ、強さが身体を通リ抜けていく。
あゝ冬の裸木、葉は落ちても枝は勢いづいている。

暖かさのなかに本格的な冬の到来が私には寂しい。
丁度内地の晩秋時と同じくらいかしら。

それでも緋寒桜の枝先に小さな桜の芽と
緑の葉が「私を見てよ。」そんな光景が凄く嬉しい。
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