2022 03/03 18:46
Category : 3月3日
あれは私が29才の雛祭りの出来事だと思う。
何時ものように母へのお小遣いを送らなければと、
最寄りの郵便局へ行った。
速達で送ろうか普通に送ろうか迷った末、
何気なく速達で2万円を送った。
その翌日、母が亡くなるとは夢にも思わず、
亡くなる寸前に母の手に届いた。
幾ら仕事が忙しいとは言え、
有給を取り会いに行けば良かったと後悔するばかり。
数日前の電話では真坂、亡くなるとは想像も出来なかった。
私は知らぬ間に気の強い
優しさのない人間になっていた。
危篤の知らせを聞いて直ぐに会いに行ったが
母の変わり果てた姿を見て身体の力が抜け、
父も機嫌が悪かった。
私は何という親不幸な娘かと母にお詫びをし、
三人の叔母や近所の人達の話を聞きながら
母の身体を拭きお化粧をしていた。
こんな私の小遣いを喜んで胸にしまった話を聞く。
事あるごとにお小遣いを送っていた私を
叔母達は褒めてくれたが、自分に嫌悪感を感じていた。
葬式代やその他を自分の預金から
出せばいいというものではない。
昨年、両親名義の土地を母がお世話になった親戚の人に
あげて遺産放棄した。
貧乏生活が嫌で働いた昔、今は何の欲も無く、
普通に暮らせる事の幸せがよく分かったから。