お母さんのおにぎり




小学生の時、母の作った遠足の時のおにぎりは美味しい。
心浮かれた気持ちに気を付けなさいと、三角結び。

梅、鰹節、昆布と決まっていた。
他に何もなくても恥ずかしくなかった。

運動会には、赤い大梅が入った丸結び。
梅、鰹節、昆布おまけに
卵焼きと甘夏蜜柑が2個入っていた。

母の目を盗んで裏の家の義ちゃんの傍に走って行く。
義っちゃんに半分以上、分けてあげたと思う。

義っちゃんと私はリレーの選手だった。
義っちゃんは一位、私は8人中6位に終わったと思う。

何か学校行事が有る度におにぎりを作った母。
あの頃、母は両手でおにぎりを握るように、
母の心も私に握ってくれたのかも知れない。

中学二年の冬、バイトに行く時に
握ってくれたおにぎりは涙の味がした。

力のない親でごめんねと言ったように
眼から涙をこぼしたような味だった。

もう一度あのおにぎりを食べたいけれど
60才を過ぎると亡くなり、母との別れは速かった。

母に抱かれた想い出は少ない。
生意気な事を言う私を母は好きではなく、
可愛い言葉使いをする姉を好きだったと思う。

そんな遠い昔のことをふと思い出しながら、
街の夜景を見ていた。

冬至も終わりクリスマスが近づいても、
主人には全く関心がなく、いつも誰かと話している。

お前は俺がいなければ困るし、
居ても困るのだろう?

この川柳のような言葉には驚き何も言えない。
明日も外出したり家事も有り年末で忙しい。

編集 sakura : 始めのおにぎりが三角結びだから、次のお握りは丸結びにしました。文章を変えました。
編集 まこちゃん : 「心浮かれる気持ちにブレーキかけるが如し、三角おにぎり」ってどういう意味かな??
編集 sakura1205 : 卵焼きは味が違ったわね。主人の言うとおりかもね。
編集 yuma : 私も母のおにぎりと卵焼きが好きだった。自分で焼いてもちょっと味が違うの。ご主人の仰る事、図星?うちも亭主元気で。。。。だわ