花散らしの雨
あの日、私は小高い山の中腹でバスを降りた。
そこは静岡の親友を頼って来た静かな山の中。
どうして生きていこうかと心は暗かった。

ゴツゴツした岩がある川の両側に満開の桜が散り始め、
風に乗って勢いのいい桜が私にぱらぱらぶつかってくる。

眼を下に向ければ清流がざぶざぶと滝のように流れ、
親友に会う迄の30分位、余りの静寂さに涙が溢れた。

思い切って東京から遠い静岡に一人で来て、
親族や友達と別れを告げ考えた末、決めた事。

木漏れ日が辺りを明るく照らせば、
自分で選んだ道じゃない、真面目にお仕事すればいい。

その時も桜吹雪が私の身体にぶつかって、
弱虫の私を「頑張れ¡頑張れ!」励ましてくれた。

あの時の桜は、美しさ、強さ、生きる事の大切さを教えてくれた。
普通のお花見ならば綺麗だと喜んで見ていたと思う。

25年間、会社勤務をし退社した43才前後だった。
翌日にはアパートを借りて数日後、職探しを始めた。

簿記学校に行ったのも2か月だけで親友の紹介もあり、
○○料理のレストランにコックさんの手伝いから始めた。

素早い動きのコックさんに呑気者の私は「姫!」と
呼ばれて口では言い表せないほど忙しかった。

私は料理や盛り付けは嫌いではないので
一生懸命にコックさんの機嫌を損ねないように働いた。

半年後に右手が上がらないほど痛くなり
整形で注射を打ちながら治る迄はお店を手伝い、
完治したら再びコックさんの手伝いを始めた。

頭が良くて手先が器用で健康が一番のコックの仕事が
少しは分かっている。

今年も桜は見られないけれど私の心の中にしっかりと、
色々な桜の花を思い出すことができる。

編集 魚心 : サクラの思い出もそれぞれですが辛い事も体験されましたね、これからきっと幸せになりますように。
編集 ハル : 義理の娘さんには気を使われたでしょうね。内は早すぎて主人が強がったので辛い思いをしました。単身赴任は 辛抱した私に神様が下さったご褒美と思っています。子供達も何も言いませんが、辛い思いをし色々分かっているので、「内ん家ってお父さんがいないと平和だね」って言った事があります。単身赴任のお陰で家族の大切さを解ってくれたような気がします。そうそう 退職は来年になりました。帰って来たら喧嘩ばかりかも…
編集 sakura1205 : ハルさん、何時も有難う御座います。この日記は43歳頃の話しで、この後2年経たない内に主人と初めて会いました。若い時から結婚した人でなければ駄目みたいね。義理の娘さんが二人も居て気遣いします。ハルさんは若い時からずっとご主人様と一緒で幸せですね。
編集 ハル : 桜の花一つにも色んな思いでがあるんですね。年齢は私とそんなに違わないと思いますが、自分が小さく見えてきました。辛抱強いsakuraさん きっといい事があると思います。これからはあまり無理をしないようにね。もうそんなに若くないんですから。(笑)