花見鳥
こんなに空が青いのに、
窓を開けても人の声も聞こえない。

こんなに雲が白いのに
あの人はまた昨日から放浪の旅に出かけてしまった。

一週間も看病して風邪が治ったかと思えば、
私が外出した僅か数分の間に無断で旅に出て行った。

夫婦だと思えば憎しみがわいてくるから、
病気の兄と思って今日一日を大切に精一杯暮らそう。

考えてみれば私も彼に文句を言ったり、
無視したり大切にはしていなかった。

陽光がぎらぎら燃えている。
小学生が音符の如く躍動し、坂道を走って行く。

すると思いがけずに鶯の鳴き声を聞き、
春を告げる鳥の声でうきうき心ときめく。

暦の上では二十四節気の一つ雨水になり、
空からふるものは雪から雨に変わったという時節。

気散じて水と為る也。
全国的に雨模様で北国の一部と南国だけ晴れたり曇ったり。

雨水を迎えれば春はさほど遠くはない。
と言っても暦の上では時節の移り変わりは早い。

本土では明日は雪がふるとの予報。
四季のない南国は桜祭りも終わり既にツツジが咲いている。