言葉だけの贈り物 
暦を見れば今日は、「父の日」と載っている。
亡き父に何か好きな物を送ろうと思っても、

家も住む人も誰も居なくなってから送る事は出来ない。
何を送っても喜んでくれたけれど、年に一度は、必ずと言うほど

「お前に悪いけれど××円貸してくれないか!」私の社宅まで
金銭を借りに来ていた。

貸すといっても返す当て等ないので、働いた貯金から与えるだけの
私には、文句も言いたくなる時も有った。

しかし、高齢で食べる事にも大変な父をそのまま帰す事は出来ずに、
「これで当分の間、暮してね!」父の要求する金額よりは少ないと

思ったが、私にも生活費がなければ困る。
泊まった翌日に最寄の駅まで見送り、痩せ衰えた父の背中をみる度、

「頑張って長生きしてね。お父さん!」二人で顔が見えなくなる迄
何時までも手を振っていた。

12人兄妹の父の兄弟姉妹達は高齢で6人位は私も知っている。
その人達は、皆、裕福な暮らしをしていたが、父だけは運が悪かった。

でも、今では天国で幸福に暮らしていると思いたい。
「お前には世話になったな!」と父が言ってくれた言葉が嬉しかった。

「いいのよ、お父さん、育てゝくれて有難う!」今度は私が父に言った。
それから父の日のプレゼントは、言葉だけになってしまった。

編集 拓郎 : なんだか心がジ~ンとしてきました  sakuraさんは正直な方ですね またまた心がジ~ンとしてきました  
編集 sakura1205 : 十六夜さん、こんばんは。迷惑なんて、とんでもないです。20代、30代、その後も楽しい事は無かったですね。働くだけの人生でした。親孝行ではないですよ。有難うございます。
編集 十六夜 : SAKURAさま。 お父さん嬉しかったでしょうね。言葉だけ、なんてことありませんよ。何より嬉しかったと思う。。たくさん親孝行されたんですね。コメント ご迷惑だったらごめんなさいね。