冬の星
普通なら、来年定年退職するはずの主人は、「今の仕事は生き甲斐がない!」
そう言って早期退職をした。

一緒に退職した人達は、年金を貰いながら会社勤務をしている。
主人は、経理事務等の仕事は得意だと思う。

「俺は人に使われたくない!」今も年金を受給しないうちに
9ヶ月になろうとしている。

安いお給料でも、堅い事務職を例え3日でもして貰いたかったが、
本人の考えが余りにも、私とはかけ離れていた。

人前で落語を披露したり、司会をしたり目立ちたがりの性格で、
今日も、日帰りで帰ると聞いていたが、明日帰るとのメール。

最初から、「今日帰る!」と嘘を付いていた事は判っていた。
何故、帰らないのかも判っている。

そして来週も東京へ行く事は判っている。彼の夢は長続きはしないと
思う。心の中で反対しながらも、一緒にいる限り、協力をしている。

次女が、寂しがらないように詳しい事は言わずに好物を作ると、
「有難う!」お礼を言ってくれた。

暗い夜空に光る星を見つめて、私の頬を悔し涙がぽつりと落ちた。