雲に思いを 
様々な雲が空一面に広がっている昼下がりの青空を見て思う。
お魚のうろこの様に小さな雲が数え切れないほど浮かんでいる。

まるで都会の人ごみを歩いて居た時のような雲。
ごう慢な態度をした人間の醜い争いをしているような雲。

ふんわりと優しさを秘めた柔らかい雲に出会った時、
「お母さん、此処にいたの、長年会っていないわね、私に会いに来てくれたの?」

生きて居た時の母は、私に厳しくて余り好きにはなれなかった。
それが亡くなってから優しい母だったと思えるようになったの。

一日でいいからお母さんに会って貴女に優しくしてあげたい。
現実が厳しかったから、貴女に強い言葉を出しては、叱られちゃったね。

「お前は、気が強くて可愛くない!」と父と母に言われていた私は、
今頃になって悔やんでは、謝っている。

29才の私を残して旅立った母とその後、亡くなった父。
もっと長生きして、もっと私を守って欲しかった。

もう二度と会えないのだから、私は、思い出して泣く様な事はしないわ。
泣いてもどうにもならないから、お母さん、笑って貴女を見ているの。

貴女の願いは判っていますよ、私が幸福になれる事でしょう?
だって昔は、私を生きる為に捨ててしまったでしょう?

今は、貴女を恨んではいないわ。育ててくれて有難うと感謝しています。
やがて白い雲は、黒い雲となり、秋の日は暮れていく。