今宵の月
中秋の時期は、空気が澄み最も美しい満月が見られると言う事で、
平安時代から月を見ながら宴会をする風習が出来た。

これは、観月宴と呼ばれ、当時は月を愛でながら、即興で和歌を詠み、
その出来を皆で評価し合い、お酒を飲んで楽しんだとの事。

この行事が定着し始めると、月の見える所にススキ、月見団子、御神酒等を
供えるようになった。

中秋の名月は、今宵の月、望月夜、三五の月等、様々に呼ばれ
十五夜が、必ず満月とは限らない事を知った。

私は、十五夜だから、ススキを飾ったりした経験はない。
幼い頃、ススキやお団子をお供えした事を見たような気がする。

しかし、今では、こういった風情のある光景は見た事はなく、
普段と変わらずに食事をして、誰も十五夜ね! と言う人も居ない。

今夜は中秋という言葉は似合わないほど蒸し暑く、窓を開けた時、
雲間から月が顔を出していた事は予想もしなかったせいか、

あらっ月が出ているわ! 思わず嬉しくなって子供のように、月に指を差し、
はしゃいでしまった。此の時、十五夜を少し意識していた自分に気付く。