2003年12月の記事
2003 12/31 21:34
Category : 詩惑抄
たとえば
医者の要らない世界
警察の要らない日常
軍隊のいらない国を
想像してみる
病気のない
犯罪の無い
侵略の無い 次元
たとえば
医者の居なかった世紀
警察の存在しなかった場所
軍隊を必要としない時代
を想像してみる
病気は自然の摂理
犯罪は生きる道を失い
侵略は弱肉強食
たとえば
あなたと出会わなかった
わたしを想像してみる
わたしはあなたにとって
どんな存在だったのだろう
医者の要らない世界
警察の要らない日常
軍隊のいらない国を
想像してみる
病気のない
犯罪の無い
侵略の無い 次元
たとえば
医者の居なかった世紀
警察の存在しなかった場所
軍隊を必要としない時代
を想像してみる
病気は自然の摂理
犯罪は生きる道を失い
侵略は弱肉強食
たとえば
あなたと出会わなかった
わたしを想像してみる
わたしはあなたにとって
どんな存在だったのだろう
2003 12/29 15:23
Category : 日常詩
凍れる息も輝いて
晴れた朝を踏みしめる
育ち過ぎたホウレンソウの
軟体動物のような固まり
霜柱は天上を仰ぐ神殿
木々は羽衣をまとう
天女たち
朝の光は
日常を凍らせて
異空の情景を創り上げる
晴れた朝を踏みしめる
育ち過ぎたホウレンソウの
軟体動物のような固まり
霜柱は天上を仰ぐ神殿
木々は羽衣をまとう
天女たち
朝の光は
日常を凍らせて
異空の情景を創り上げる
2003 12/18 16:17
Category : 日常詩
80年近い年月を
あっけなく終らせてしまったなどど
言う事はすまい
死出の旅を始めるまでの
長の年月を
たったひとことで
片付けてしまうことはすまい
名も無きままの
一井の人のまま
荼毘にふされることを
嘆くまい
あなたが あなたらしく
逝ったことを
幸いとしよう
豊な人生であったことを
偲ぼう
残された者が
やすらかであることを祈ろう
―――――合掌
あっけなく終らせてしまったなどど
言う事はすまい
死出の旅を始めるまでの
長の年月を
たったひとことで
片付けてしまうことはすまい
名も無きままの
一井の人のまま
荼毘にふされることを
嘆くまい
あなたが あなたらしく
逝ったことを
幸いとしよう
豊な人生であったことを
偲ぼう
残された者が
やすらかであることを祈ろう
―――――合掌
2003 12/14 11:15
Category : 物語
眠る幼子のそばに
兵士が立つ
「ここで、守っているから
ゆっくりおやすみ」
幼子が問う
「何がやってくるの」
兵士は答える
「おまえが怖がる必要はないのだよ。
わたしが守っているのだから」
幼子はやがておとなになり、
兵士は年老いた。
歩きつかれた兵士のそばに
青年が立つ。
「ゆっくり、休んでおくれ。
わたしが、見守っているから」
息を引き取る老兵士を弔い
青年は再び、歩みだす。
妻を娶り、子をなし
青年は眠る母子のそばに立つ。
「ゆっくりおやすみ。ここで、守っているから」
青年は兵士となり
守るべきものを得て、
はじめて老兵士が見ていたものを
見た。
兵士が立つ
「ここで、守っているから
ゆっくりおやすみ」
幼子が問う
「何がやってくるの」
兵士は答える
「おまえが怖がる必要はないのだよ。
わたしが守っているのだから」
幼子はやがておとなになり、
兵士は年老いた。
歩きつかれた兵士のそばに
青年が立つ。
「ゆっくり、休んでおくれ。
わたしが、見守っているから」
息を引き取る老兵士を弔い
青年は再び、歩みだす。
妻を娶り、子をなし
青年は眠る母子のそばに立つ。
「ゆっくりおやすみ。ここで、守っているから」
青年は兵士となり
守るべきものを得て、
はじめて老兵士が見ていたものを
見た。
2003 12/11 20:58
Category : 詩惑抄
悲しみは蒼く
底の見えない淵に
沈む
かき乱す波紋は
底の深さを惑わせる
誰が沈む悲しみを
すくい上げるのだ
涙を流すだけでは
淵は深くなるばかりだというのに
底の見えない淵に
沈む
かき乱す波紋は
底の深さを惑わせる
誰が沈む悲しみを
すくい上げるのだ
涙を流すだけでは
淵は深くなるばかりだというのに
2003 12/06 20:03
Category : 読書時間
入り口に立ち止まると
焦燥感と従属感と
深い哀しみに襲われる
人類のあらゆる言語を
空間に押し込め
事足りるような自己満足
不快も快感も
喜怒哀楽も
文字に閉じ込めてしまったのは
人類の勝利なのか
善悪も虚無も全てを
肯定し否定し
留まる事のない洪水は
防波堤さえ呑みこんでしまう
流れてきた小さなひとつを
手にし
レジへ向うわたし
焦燥感と従属感と
深い哀しみに襲われる
人類のあらゆる言語を
空間に押し込め
事足りるような自己満足
不快も快感も
喜怒哀楽も
文字に閉じ込めてしまったのは
人類の勝利なのか
善悪も虚無も全てを
肯定し否定し
留まる事のない洪水は
防波堤さえ呑みこんでしまう
流れてきた小さなひとつを
手にし
レジへ向うわたし
2003 12/02 21:10
Category : コトバアソビ
他人の不幸をものさしに
自分の歯車まわしてみる
合わせ鏡のように
重なる歯並び
そ知らぬふりして
回り続ける
寸分と狂わぬ
カラクリ時計の歯車の如く
いつのまにやら
外れた螺子は
行き場を失い
傲慢な歯車は
不協和音を奏で始める
モジュール モジュラー
怪獣になる
自分の歯車まわしてみる
合わせ鏡のように
重なる歯並び
そ知らぬふりして
回り続ける
寸分と狂わぬ
カラクリ時計の歯車の如く
いつのまにやら
外れた螺子は
行き場を失い
傲慢な歯車は
不協和音を奏で始める
モジュール モジュラー
怪獣になる