「死刑執行人」
ただ彼は見ていた

斧を振り下ろすでもなく
銃の引き金を引くのでもなく
電源のスィッチを入れるでもなく
踏み台をはらうでもなく
突き落とすでもなく

ただ
彼は見ていた
死刑囚が息を引き取るまで
刑が下され
餓死するまで
病に伏し息をひきとるまで

死を
人の手によってもたらされる事なく
すみやかに
刑が執行されるのを
彼はただ 見ていた

それが
死に対する
尊厳である