2002年06月の記事


「6月の薔薇」
花影に佇む人よ
儚げに 微笑む人よ

何を憂いて 涙する

散る花びらを
受け止める 白き指先
棘に傷つく そのガラス細工の
瞳を

わたしは どうやって
守ってあげたら よいのだろう
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「野獣」
あなたのDNAが
あなたの 子供がほしい

強くて知的な
あなたの 子孫がほしい

でも 知ってる?
人間の子供は
DNAだけじゃ 強くはなれない

わたしの 子供なら強くなる
わたしが 強く育てる

あなたは わたしの子供
ほしくない?
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「梅雨間」
雲の間の空は
夏色してやがる

ひねくれた気分を
見透かしたように
笑ってやがる

明日は雨だぜ
分かりきった天気予報も
はずれてしまえ
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「To be, or not to be」
自分の中の
プラスとマイナスを
共存させ る

内の中に闘いを起こせ

撃たれたものは
悪か 正義か

生か 死か

あるいは 排斥か 

内なる矛盾は 矛盾を
無作為に生み出し続けるのは必須科目
それを知らずに
闘いは虚無に向って
射程距離を縮めていくがいい
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「優しすぎて」
どんなに愛しく
どんなに切なく

思ったとしても
あなたの優しさにジェラシー

不安を抱え込んだまま
あなたを見つめている愛に
ほんのちょっと ジェラシー

優しすぎる自分に
気が付かないあなたは
ほんのちょっと 間抜け

優しすぎて
愛されている自分に
気が付かない 底抜けの間抜け
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「拾得物」
落ちていたコトバを
そっと 拾った

持ち主がわからぬまま
そっと 飾っておいた

いつのまにか
色あせて 意味も分からなくなった

たぶん
「未来」という
コトバだったと 思うんだが
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「切り取り線」
夕べの雨で洗われた
空色を切り取って

ほころびたあなたの心に
縫いつけよう

洗いざらした人生も
たまには風に 干してみよう

きらめく緑を切り取って
あなたの心に縫いつけよう
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「方向音痴」
進行方向に向って

右から左へ

で、あなたと進行方向が違うと

目的地も違ってしまうわけか

わたしはどこへ行ったらよいのだ
どこへ行こうとしているのだ

もしかしたら
前と後も間違ってやしないか
不安な日常
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「狭義」
コトバ は 記号

ことば は 表記文字

コトバは
あなたに届くと 言葉になる

わたしのコトバを愛してください
あなたが納得するまで
何度でも

わたしのコトバが
あなたに届くまで
言葉に 変わるまで
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「飛翔」
戦いつくす鳩は
飛べなくなった相手を
見返りはしない

片羽だけでは跳べぬのに
右と左で
攻防戦

人類は飛ぶことを
許されてはいないのだろう
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「二重惑星」
わたしに重なり
あなたは夢をみる
あなたに重なり
わたしは夢をみる

風に乗り
地の果てへ
冒険の旅へと

無限の夢を
夢幻の時間の
重なりを

あなたとわたしが
重なり合った時間だけ
あなたとわたしは
夢をみる
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「菜園風景」
支柱に色気よく絡まるインゲン
すっくと立つ茄子の苗
恥じらい見せるきゅうりの若葉

去年の種が芽吹いた青ジソの大群が
ニラを攻め立てる

大木になったウド
これがほんとの「ウドの大木」だが
新芽を摘めば味噌汁の具になる

もうすぐ 田には
なみなみと 水が注ぎ込まれるだろう
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