「盗掘の村」
<<エジプト>--ルクソール--


昔から盗掘を生業としているクルナ村は、このような岩山の中に点在している。

この周辺には、太古の昔から王妃の墓や貴族の墓が有り、この村の住民はそれらの墓を盗掘して探し出し、墓の中から掘り出した遺品を売って生計を立てていたのである。

此処の岩山には水源が無く、ナイル川まで水を汲みにいかなければならず、エジプト政府は此処を立ち退くよう住民に促しているが、古くから住み着いている住人達は移転しようとせず、今では此処で採れるアラバスタ(透き通る岩石)で作った製品などを販売して暮らしているのである。

我々娘夫婦と私の三人は、地図を片手に王妃をはじめ貴族の墓を見学しようとしていたが、此処に住む一人の若者が、強引に案内をかって出て、我々をこんな場所まで連れて来たのには、流石に身の危険を感じたものであった。

写真でもお分かりのように、岩山の所々にある穴は、盗掘を試みた跡なのである。