「凧」
<<インドシナ>>--バリ島--


真っ青な空に、悠々と浮かんでいるのは、何と凧である。

クタ・ビーチで最初二個の帆船形たこを見た時は、あれっこれは一体なんだろうと、咄嗟には理解できなかった。

これが糸であげられている凧だと分かったのは、もう一つ同じ形をした真っ黒な凧があがっていたからだ。

それにしても随分と巧妙に出来ていて、まるで本当の帆船が、海の中を進んでいるような錯覚さえ覚えるのである。

この帆船形凧が、一体何処で揚げられているのか、遂に最後まで分からなかった。

この凧は、和凧のように、あちこち左右になびきながら揚がるのではなく、じっと空に留まっているから、余計本物の船のように感じるのだ。