「成り切りご仁」
<<ベトナム>>--ホイアン--


早速購入した菅笠を被って、ご満悦の旅仲間。

菅笠と一口に言っても、ピンからキリまである、彼の買った菅笠は、かなり高級な物であった。

帽子の上から被ったのは、ちょっと気になるが、それでもこうして菅笠を被ると、中年の現地人といっても違和感は感じられない。

彼はこれ以降、旅行中ずっとこの菅笠をかぶって過ごしたが、バッチャンの土産物店で、お腹の大きい妊婦の店員に、この菅笠を挙げてしまい、貰った彼女は大喜びで、彼に買い物のサービスをしていたのが、印象に残った。

その気前の良さもさることながら、彼の海外旅行における渡世術を、見せ付けられたような一幕でもあった。

郷に入れば郷に従えが、彼の信条のようである。