「唯我独尊」
<<インド>>--ヴァラナシ--


共同トイレの近くで見掛けた男の姿。

缶ビールを飲みながら地べたに座り込んで、じっと目を据えているこの男、一体どんな境遇なのであろうか。

空のポケットがズボンからはみ出しているが何も入っていない。

周りの視線を全く気にせず、ただ朴念と座り込んでいる。

地元の人々は、そんな彼の存在を全く気にせず通り過ぎるが、観光客である我々は気にせずにはいせれない。

ホームレスかどうなのか判然としないが、目だけは鋭く、ずっと前方を見詰めていたのだった。