「路地裏⑨」
<<インド>>--ヴァラナシ--


今度は路地裏の一角に、羊が寝そべっていた。

牛、犬と続いたが、羊まで居るとは驚きである。
しかもこの羊、異常に耳が長いのも不思議である。

当然これらの動物は、飼い主が居るのであろうが、鎖で繋がれている状態を見たことが無い。

彼等は自由に歩き廻って、何処かにいなくなってしまうと言う事は無いのだろうか。

歩けども何時までも続く、こんな迷路のような路地は一体何処まで続いているのかと、異次元の世界に迷い込んだような感がある。

次々に現われるこれらの動物たちが、そんな不思議さを余計に助長しているのかもしれない。

羊の脇に置いてある、死者の遺体を運ぶための梯子も不気味である。