「去り行く牛君②」
<<インド>>--ヴァラナシ--


更に遠くに歩いて行ったこの牛君、完全に街の中に同化してしまった。

こうして人間と一緒に共存している放し飼いの牛は、自分も人間だと思っているのではないだろうか。

私の目の前で、獲得したリンゴを誇らしげに、食べていたパフォーマンスを見て、どうもそんな気がしたものである。

インドでは、ペットのように人間に愛されている牛は、働く道具ではなく、牛乳や燃料用の糞を提供してくれる、有難い生き物なのである。

日本でも江戸時代、犬を生類憐みの令、で虐待禁止の布令がなされたことがあるが、それとは意味が違うようである。