鎌倉新仏教に三段階&三課題 高木豊述「日蓮―鎌倉仏教の諸問題」881215
 鎌倉新仏教に三段階&三課題 高木豊述「日蓮―鎌倉仏教の諸問題」881215
 
 鎌倉新仏教に三段階
 1)法然・栄西、2)親鸞・道元、3)日蓮・一遍。
 それぞれに共有する<時代認識>を背負っていると、説明を始める。

 その共有する時代認識と空間認識をこれまた三課題として示す。
 4)「片州濁世」や「末代辺国」と表現する「末法思想」の時代。
 5)修行僧らが「闘諍堅固(とうじょうけんご) 互いに自説を主張して譲らず、争いが盛んな状態」に、武士社会に根強い「無常観」の広がり。
 6)天竺=インド、震旦=中国、本朝=日本と伝承する「(仏教的)辺土=辺境」の意識。

 そこに親鸞=専修念仏、道元=只管打座、日蓮=唱題目の信仰を提示。
 それはインド発仏教とは、ある意味、異質ともいえる哲理・教学・思想を樹立した、と。
 ここで二話構成の第一話が結ばれる。第二話は「人間の肯定」に始まり「日蓮とその時代」。

 立正大学文学部教授でのち、立正大学副学長を務めた高木豊氏「日蓮―鎌倉仏教の諸問題」(国立教育会館編『教養講座シリーズ 43』 1982年12月初版)から。