「絶望を救うのは日常そのもの」 アレクシービッチ談「誰もが孤独の時代 人間性失わないで」230101
「絶望を救うのは日常そのもの」 アレクシービッチ談「誰もが孤独の時代 人間性失わないで」230101

 『朝日新聞』。2023年1月1日の第一面を綴ったのはノーベル賞作家 スオエトラーナ・アレクシービッチ氏の言葉。
 「誰もが孤独の時代 人間性失わないで」と述べている。「灯 わたしのよりどころ」特集。
 ウクライナ人の母、ベラルーシ人を父に持つ身。2月24日、ロシアがウクライナに侵攻を始めた日から、その東部や南部で激しい戦闘が続く地に、思いをはせる。

 記者は書く。ウクライナでは、「前線から遠く離れていても、人々は電力不足や毎日のように鳴り響く空襲警報に悩まされる」。
 「どうすれば救われるのか、文学の役割とは何なのか」。

 インタビューの全容を示した、2面の末尾に注目する。
 「近しい人を亡くした人、絶望の淵に立っている人のよりどころとなるのは、まさに日常そのものだけなのです」。
 「たとえば孫の頭をなでること、朝のコーヒー一杯でもよいでしょう、そんな人間らしいことによって、人はすくわれるのです」。

 他方で「文学の役割となんなのか」と聴かれ、次のように応えている。
 「作家は『人の中にできるだけ人の部分があるようにするため』働くのです」。
 諭すように語った、その後にで。

 「私たちが生きているのは孤独の時代」。
 「私たちの誰もが、とても孤独です」。「人間性を失わないための、よりどころを探さなくてはなりません」。滞在先のベルリンで語った。