物語性が明快/演出に吸引力 前進座「如月の華」釧路公演
物語性が明快/演出に吸引力 前進座「如月の華」釧路公演.



 13日午後は.前進座「如月の華-九條武子ものがたり-」釧路公演.
 前々日に会券を届けていただいたので、出かけてみた.
 前進座は京都が根拠地とのことで、1973年に「親鸞」、平成8-9年頃「蓮如」の公演が催されたかと、記憶.

 今次は<女性>の物語.
 3時間をわずかに切れる公演時間ながら、見せてくれた.あるいは「魅せる」の語があてはまるのかも知れない.

 物語性が明快.
 義姉の死、関東大震災被災者の死、自らの死.それぞれの死で、自らが鍛えられる.
 義姉の死には、幼児時代すでに、二人の出会いあったことが契機となっている.
 死期の近きを察した義姉が「仏教婦人会創設と女子大開学」を託す経過が、テンポと場面切り替えで、「公演主題」を明確に示す.
 「場」の組み立て.
 「場」ごとに提起と帰結が盛り込まれ、明快でキレが良かった.
 理解しやすさの有力な要因なる、か.
 ミュージカルの手法.
 なかに、ミュージカル風の演出のあった点が、これまで眺めてきた前進座の、重厚にして暗鬱な表現とは一線を画したの、感.
 これまでの「親鸞」「蓮如」の演出とは異なっているように思え、目を見張った.

 主演女優の縁起も好感がもてた.

 縁起で最後の場面は、罹病&死(テーマは「往生」ながら).
 一転、終了後の舞台挨拶では、たちまち「九條武子」で登場.「役にスッカリなりきっている」と、観客の声.

 前幕と終幕では会場から拍手.
 終幕で、拍手の輪がいっそう大きくなったのは、公演密度に寄せた満足感をあらわすもの、か.