心を込めた言葉の美しさ 金田一秀穂著『日本語のカタチとココロ』
 日本語の多様性.そこを示すのかと思う.他方でむすびに、「心を込めた言葉ー私はそれこそが一番美しく、正しい日本語だと想っています」と、示す.
 その理由を、「人の心を打つ、圧倒的に強い言葉というのは存在し、それが本来的に人と人との関係をつないでいるのです」と、する.

 「これ」「それ」「あれ」は、距離で「近い」「なかほど」「遠い」の距離では、ない.
  自分のカラダのなかにあるのが、「これ」.あいての身近にあるは「それ」で、第三者のもとにある「あれ」とする.

  日本語を、「音」「文字」「語彙」「表現」「文法」の5要素からなるとする.
 言葉は、「規則的にできていて、客観的に分析することができる」(25p).

 「音をそのまま文字にできる」という日本語の特徴が、日本の識字率が高まった理由の一つ.
 また、まったく違う文化を取り入れながら明治維新を可能にした理由も、「音をそのまま文字にできる」点にあったと、する(35p).

 NHKETV「知るを楽しむ この人この世界」のテキスト.2が月8話を二人で分担が多くなっているなか、単独執筆で講座を維持するは、このお方の問題意識と力量というべき.
 昨今、一連の講座テキストがとうとう『100分 de 名著』の一種となってしまったように、見える.
 「書く力」の衰退でないと、幸いである、が.(日本放送出版協会 2007年)