高杉良著『小説 日本興業銀行 第三部』
 高杉良の企業小説。『小説・日本興業銀行 第三部』は昭和30年前後。造船疑獄、河上総裁の死、海運再編成と展開。

 キーマンの一人は一万田尚登氏か。
 日銀総裁・大蔵大臣で新聞紙上によく登場していた。
 一万田氏をはじめ、歴代の大蔵大臣が同省局長経験者。その先には池田勇人氏のような、いわゆる大蔵省閥(当時)のような存在が、わがくにの金融のみならず政界を動かす時代というものを、実感する時代のあったことを知る。

 海運再編成。1960年そこそこの運輸行政の主軸なのであろう。会社合併。これによって輸送運賃ダンピングが、抑止されたのかとおもう。大型化、近代化についで協業化の部分が、合併・再編成という形で「利益共有」というスタイルにおちついたのかもしれない。
 経済界の動きを、運輸行政と金融機関が指針を示す。結果、利益はどこに収斂していったのであろうか。そこまでは本著の責任ということではあるまいが。

編集 ペン : お金を産む場所を押さえた物が国を牛耳る・・この構図今も変わりませんねぇ。もっとも家庭の中でも奥さんが「大蔵大臣」と呼ばれるようですから家を牛耳っているのは誰か?って事になりそうですけど(笑)