玉木正之著『日本人とスポーツ』
 玉木正之著『日本人とスポーツ』。 スポーツは「地球規模の共通文化」なのだそうである(表紙)。
 スポーツが両国の友好親善に生かされる戦後、戦前は国威発揚の観点から眺められた。そこに、「スポーツは大衆のアヘンか?」と両刃の刃を見る(44p)。

 「日本人と企業スポーツ」では、我が国のスポーツ振興基盤を見る思いがした。
 選手の活躍が企業広報ととらえられた時代と、不況がそうした余裕を企業からうばい(66p)、スポーツは地域に重荷を預けられている観もあるが、それはむしろ好都合なのかも知れない。
 政府や地方公共団体は、「道路や鉄道施設に予算を使い」(70p)、スポーツ振興にはカネが廻らなかったと、する。
 施設をつくるのは土建屋をもうけさせるが、指導者にはお金をまわさなかったとも言われてきた、が。

 「市民スポーツクラブこそ、日本のスポーツの未来を担い」「(これからのスポーツクラブの発展が)日本のスポーツの未来を決定」(78p)。
 折から世界女子バレーが開かれている(2011.11.4~)。中国・韓国選手の活躍ぶりとあわせて、日本スポーツ界の方向を考えさせてくれる。(NHK出版 2001年)