四季(秋-冬) 5.7.5 (7.7)


秋の風琥珀に滲むススキの穂揺れて紅ぬくもり求め


有頂天孤独の果実幻と現虚と実映し途方に暮れる


幸せが揺れておいでと天高く愚かな若さもう帰れない


秋の空朧月夜の坂の下孤独を憎み孤独を愛し


変わらない太陽の塔燃える秋原色褪せぬ岡本太郎 (%)


懐かしく流れゆく曲傘がない齢を重ね美学にかわる


元町を彷徨うジャズの枯れし色


星月夜長き読書の旅に出る


灰皿に燻る秋のハイライト


蒼い月寒露に浮ぶ夜明け前


落葉樹手にとる黄色季の神秘


秋の赤もののあわれみ語る木々


秋の暮れあかねをくぐる夢つばめ


風の道秋を散りばめ渡る鳥


陰陽に捻れし枯れ木現の幻


焼却炉燃える炎の自己嫌悪   


絶望はここより寒い斬られ役


寒の弦燐光残すオルゴール


錆びた赤湾の泥海冬の雨


またひとつ寒波の夜の流れ星


大寒に機械仕掛けの春の花


石庭も凍る宇宙か瞑想図


不況風らせん階段冬の円 


プリンセス氷の世界真央とヨナ


ナイロンの弦に奏でる冬の旅 


七曲り冬の潮騒播磨灘


我を問う煩悶うねる冬の海


噛みしめる吹雪の中に個の命  


蒼白き樹海の砦冬の底


死を見つめ終焉学ぶ生きる冬