2006年01月の記事
2006 01/30 22:21
Category : 日常詩
三十二階を選択して
エレベーターを降りる
三六〇度 視界はひらけ
遠くの山々を見渡す
三々九度の誓いから
この地は子どもたちの
故郷になった
どんなに背伸びしても
わたしの故郷は見えない
三種三様
子どもたちは故郷を巣立つ
その地は
故郷の山々が見えるかい
エレベーターを降りる
三六〇度 視界はひらけ
遠くの山々を見渡す
三々九度の誓いから
この地は子どもたちの
故郷になった
どんなに背伸びしても
わたしの故郷は見えない
三種三様
子どもたちは故郷を巣立つ
その地は
故郷の山々が見えるかい
2006 01/28 22:14
Category : 日常詩
建ち並ぶ電信柱を揺らして
風が渡る
楽しげにかきまぜて
街ゆく人々を走らせる
猫が陽だまりで丸くなる
麦畑を掃きだすように
風が通る
街が肩をすくめて
春を待つ
風が渡る
楽しげにかきまぜて
街ゆく人々を走らせる
猫が陽だまりで丸くなる
麦畑を掃きだすように
風が通る
街が肩をすくめて
春を待つ
2006 01/23 22:37
Category : 日常詩
すべてを白塗りにする
それには足りない
降雪量
それでも
あわてふためく
メディア
日の光とともに
溶解する結晶に
なんの変哲も
見出せずに
流れていくさまを
追う
それには足りない
降雪量
それでも
あわてふためく
メディア
日の光とともに
溶解する結晶に
なんの変哲も
見出せずに
流れていくさまを
追う
2006 01/22 20:38
Category : 風待ち
雲が下界を見ている
気になるように
触手を伸ばして
闇を掴む
誰かを探しているように
雲が降りてくる
見つからないように
そっと
鍵をかけ
カーテンを閉ざす
光を遮る雲のように
気になるように
触手を伸ばして
闇を掴む
誰かを探しているように
雲が降りてくる
見つからないように
そっと
鍵をかけ
カーテンを閉ざす
光を遮る雲のように
2006 01/21 22:20
Category : 日常詩
「おなべや ぐつぐつ」
おとぎ話の女の子
呪文を唱えて お粥を出す
「おなべや ぐつぐつ」
呪文を唱えてみても
でるわけないから
大根切って こんにゃく切って
ちくわを切って さつまあげ切って
はんぺん切って ゆでたまご入れて
「おでんや ぐつぐつ」
できました
おとぎ話の女の子
呪文を唱えて お粥を出す
「おなべや ぐつぐつ」
呪文を唱えてみても
でるわけないから
大根切って こんにゃく切って
ちくわを切って さつまあげ切って
はんぺん切って ゆでたまご入れて
「おでんや ぐつぐつ」
できました
2006 01/20 21:45
Category : 日常詩
空に雲が張る
雪が降る前の静けさを
閉じ込めるように
明日という時間を
避けるように
帳を下ろすのは
冷たい空気が
まだ解決しない問いを
開放しないからなのだ
雪が降る前の静けさを
閉じ込めるように
明日という時間を
避けるように
帳を下ろすのは
冷たい空気が
まだ解決しない問いを
開放しないからなのだ
2006 01/19 20:51
Category : 詩惑抄
残骸が目の前にある
これが
立ちはだかっていたのは
つい昨日のこと
残骸を乗りこえて
見えるのは
絶望か 希望か
崩れていくものを
何者が止めることができたろう
絶望が縋りつき
希望が諦める
崩れていくものを
誰が再び
礎とするのだろう
これが
立ちはだかっていたのは
つい昨日のこと
残骸を乗りこえて
見えるのは
絶望か 希望か
崩れていくものを
何者が止めることができたろう
絶望が縋りつき
希望が諦める
崩れていくものを
誰が再び
礎とするのだろう
2006 01/17 21:17
Category : 風待ち
ぼうぼうと
枯れ草の渡る
虫たちの荒野
ぼうぼうと
風が渡る
開き直った顔の
荒れ野
ぼうぼうと
生い茂る
雑草という名の
生命
ぼうぼうと
立ち尽くす
ひとり
枯れ草の渡る
虫たちの荒野
ぼうぼうと
風が渡る
開き直った顔の
荒れ野
ぼうぼうと
生い茂る
雑草という名の
生命
ぼうぼうと
立ち尽くす
ひとり
2006 01/16 22:34
Category : 風待ち
朝焼けの空に
雲ひとつ
「おーい 元気か
お日さん 昇ってくるぞ」
今日もいちにち 始めるね
夕焼けの空に
星ひとつ
「おーい 元気にやれたか
お月さん 昇ってくるぞ」
今日もいちにち ごくろうさん
お日様が隠れてる日があっても
お月様が見えない日があっても
一日は東の空から始まっている
きょうも変わらず
あしたも変わらず
雲ひとつ
「おーい 元気か
お日さん 昇ってくるぞ」
今日もいちにち 始めるね
夕焼けの空に
星ひとつ
「おーい 元気にやれたか
お月さん 昇ってくるぞ」
今日もいちにち ごくろうさん
お日様が隠れてる日があっても
お月様が見えない日があっても
一日は東の空から始まっている
きょうも変わらず
あしたも変わらず
2006 01/15 21:14
Category : 日常詩
ムクドリの騒がしげな群衆
電線に止まり
夕暮れどきの宴
一羽
独りを楽しむツグミは
楓の枝にとまり 囀る
ツッツ ピー
ツッツ ピー
ジュワジュグジュグジュグ
ジュワジュグジュグジュグ
ツッツ ピー
ツッツ ピー
猫が呆れ顔で見上げてた
電線に止まり
夕暮れどきの宴
一羽
独りを楽しむツグミは
楓の枝にとまり 囀る
ツッツ ピー
ツッツ ピー
ジュワジュグジュグジュグ
ジュワジュグジュグジュグ
ツッツ ピー
ツッツ ピー
猫が呆れ顔で見上げてた
2006 01/14 16:26
Category : 物語
街中にぽっと生まれたわたしは
背中に背負うべき歴史を持たない
街中で育ったわたしは
伝えるべく伝統をもたない
父方の祖父も母方の祖父も
農夫をしていた
先祖代々の土地をわけてもらい
耕し、蒔き、育て、収穫した
土地が歴史を語り
村の鎮守が伝統を授けた
街で生まれ育ち
幾度かの引越しをしたわたしには
語るべき歴史も
伝えるべき伝統もない
体のあらゆる細胞に刻まれているはずの
情報だけがルーツを覚えている
語るべき歴史をもたないわたしは
何を語ろう
伝えるべき伝統をもたないわたしは
何を創ろう
背中に背負うべき歴史を持たない
街中で育ったわたしは
伝えるべく伝統をもたない
父方の祖父も母方の祖父も
農夫をしていた
先祖代々の土地をわけてもらい
耕し、蒔き、育て、収穫した
土地が歴史を語り
村の鎮守が伝統を授けた
街で生まれ育ち
幾度かの引越しをしたわたしには
語るべき歴史も
伝えるべき伝統もない
体のあらゆる細胞に刻まれているはずの
情報だけがルーツを覚えている
語るべき歴史をもたないわたしは
何を語ろう
伝えるべき伝統をもたないわたしは
何を創ろう
2006 01/13 21:34
Category : 日常詩
駆けていく
学校帰りの小学生
近所のおばさんが
笑っている。
時間が止まったように
風が吹きだまる。
踏み切りの警報が
思い出したように
鳴り響く。
夕餉の時間が
帰ってくる。
学校帰りの小学生
近所のおばさんが
笑っている。
時間が止まったように
風が吹きだまる。
踏み切りの警報が
思い出したように
鳴り響く。
夕餉の時間が
帰ってくる。
2006 01/12 22:02
Category : 日常詩
テレビ画面に繰り広げられる
アクションシーン
勧善懲悪
悪いやつを叩きのめす
かっこいい女
悪女をひっぱたく
いかす男
痛みは極彩色に色分け
緊迫感は
日常を破壊
アクションシーン
勧善懲悪
悪いやつを叩きのめす
かっこいい女
悪女をひっぱたく
いかす男
痛みは極彩色に色分け
緊迫感は
日常を破壊
2006 01/10 20:50
Category : 物語
時間によって
破壊されたものは
時間によって
再び創られていく
創造するということは
破壊することと
同義語なのだと
くたびれ果てた
建築家は言う
芸術家は笑う
建築家が創り
芸術家が壊す
闇と光のなかに
同時に存在する
建造物は
オブジェは
言葉によって語られる
手筈は整えられた
破壊されたものは
時間によって
再び創られていく
創造するということは
破壊することと
同義語なのだと
くたびれ果てた
建築家は言う
芸術家は笑う
建築家が創り
芸術家が壊す
闇と光のなかに
同時に存在する
建造物は
オブジェは
言葉によって語られる
手筈は整えられた
2006 01/08 21:16
Category : レンアイ教授
気持ち半分
月模様
あっちへ行こうか
こっちへ行こうか
ついて行こうか
さよならしよか
お月様に
聞いてみよか
お月様も
気持ち半分
乱れ月
雲にかくれて
知らん顔
月模様
あっちへ行こうか
こっちへ行こうか
ついて行こうか
さよならしよか
お月様に
聞いてみよか
お月様も
気持ち半分
乱れ月
雲にかくれて
知らん顔
2006 01/05 23:02
Category : 日常詩
旋律をなでる
笑いながら
さえずりながら
鳥たちのように
舞台の上を弾む
若さ
慈しむように
抱える音色
傷つかないように
そうっと奏でる
若さ
笑いながら
さえずりながら
鳥たちのように
舞台の上を弾む
若さ
慈しむように
抱える音色
傷つかないように
そうっと奏でる
若さ
2006 01/02 22:00
Category : 物語
藍の空に銀の舟
ひっそりうかべて
流します
帰りには
あのこを乗せて
戻っておくれ
明るい星が
座標軸
迷わぬように
路案内
あのこが手を振る
向こう岸
かならずきっと
乗せておくれ
藍の空を舟がいく
ひっそりうかべて
流します
帰りには
あのこを乗せて
戻っておくれ
明るい星が
座標軸
迷わぬように
路案内
あのこが手を振る
向こう岸
かならずきっと
乗せておくれ
藍の空を舟がいく