2005年06月の記事


「無言」
届いた手紙には
空白があるばかり
花の色香も賑わいも
あたりまえのように
そこにあるのに
あなたの
影だけがない
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「片隅に」
部屋の隅に滞った綿ゴミ
塵積もったハウスダストは
鼻腔を刺激する

心の片隅に
沈殿した砂塵は
目の前の風景を刺激する
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「初アカネ」
泥田の上に
夏アカネ
早苗の上に
夏風を曳く
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「真夏日」
千切られた梅雨前線
梅干の
干す間逃す曇り空
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「日差し」
薄雲の切れ間をめがけて
夏の照射
撃たれてあえぐ
アスファルト上の街
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「熱風」
木陰を通り抜ける
地球温暖化情報
暑さの中で
眠れる情報を
虫取り網で捕まえる
いつかは氷河期もまた
やってくる
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「空っぽの中に」
空っぽの中に
猫の声詰めて
お空にほうりなげてみる

空っぽの中に
トカゲのしっぽを入れて
埋めてみる

空っぽの中に
あなたの
笑顔ください

そうしたら
わたしは
空っぽを抱きしめてみる
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「言の葉」
散りさらばえた人生の
風に舞う切れ端を
君が拾ってくれればいい
書き留める
時間の切れ端
かき集め
君が再び
構築するがいい
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望郷3篇
陽だまりに
咲きほころびて
北の春

          頂きに
          まだ雪を飾りし
          故郷の山々


山々が目覚めた朝に
初夏の風景に向いて
疾走する
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