2003年06月の記事


「ひととき」
器の底辺に
トルココーヒーの沈殿
異国の香りと風景
飲み乾して
友を 思う
友の 笑顔を思う
風深き日中
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「山椒」
若芽摘む
子アゲハの異形
目にとまり
その手
しばし 止める我れ
初夏の午後
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「日射」
矢を持て
射打つ
太陽神
地に失せるは
邪悪なものか
冷徹なものか

闘いは終わり
光は失わず
過去より永劫
君臨するは
陽の神

信頼ある家臣は
闇の神
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「田植え」
泥田の中を歩き

泥のように眠る

見る夢は

黄金色
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「夏夜」
窓を開けて
風と添い寝する

カーテン開けて
月の光と添い寝する

独り寝の夜
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「ノイズ」
テレビ画像の雑音
夫のシェイバーの音
猫の声

締めそこねた蛇口から
もれる水音

廊下を歩くスリッパ
パソコンのファン

車道を走る騒音

あなたの声だけが
はっきりと聞こえる
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「梅干」
梅雨の晴れ間に
もがれた梅
しゃちほこばって
ございます

塩でもまれて
いい塩梅

次の晴れ間を待ちまして
干される楽しみ
寝かせます

梅干ババアと言われますが
忘れちゃならぬ
歴史と文化
日本が砂漠となった日の
思い出作りとなりまする
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「蜘蛛の巣」
麦の間に
張られた糸に
梅雨の雨が止まる
巡礼のベールのように
蜘蛛は
その中心で
手足を手折り
拝礼す

祈りここにあり
感謝と崇拝の
命 ここにあり

無駄なく
替わりなく
祈りの初期系
ここにあり
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「老うる我ありとて」
足を踏み出せば
戻る術はなく
ただ 歩む道は
前にある

衰えゆく肉体は
気を派すものと
鑑みて

若人の眼差し
哀れみと取るか
畏敬と取るか
されど
老うる我
我が身を哀れまず
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「億万光年」
カタツムリよりも
カメよりも
どんなに遅くても
あなたの言葉は
光より早く届いてる

縄文時代の過去から
白亜紀の時代から
放ち続けたあなたの言葉は
この
小さな星の片隅で
種となるべく
降り注ぐ
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「紫陽花」
色を集めて
紫陽花の花
楽しげに揺れる
雨も弾む
跳ねる

あなたの声も
弾む
紫陽花色して
明日が来るよ
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「曇り空」
雲の上は
青空だってわかっているのに
気分は晴れない

雲の向こうは
星が瞬いているのに
こころは暗闇のまま

風が吹けば
雲は切れる
望む風は まだだ
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「疲労」
ガソリンのない車は
走れない

おなかがへった子供は
歩き出さない

食べ続けたコトバは
器から溢れて

磨り減ったこころには
愛が必要
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「キャベツ三昧」
ザワークラウト
コールスローサラダ
回鍋肉に
ロールキャベツ

塩もみ 千切り
味噌汁 スープ

あおむしになって
さなぎになって
ちょうちょになって

あなたのところへ
飛んでいけるかな
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「風のゆくえ」
海には海の風が吹く
山には山の風が吹く

戯れ遊ぶ風たちの
交わらずして
重ならずして

上昇気流は
たおやかなる季節を
運び

すきま風は
生き物たちの
ひそひそ話を伝う

風は留まらず
風はつかまらず
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