2002年02月の記事


「伝言」
ずっと

忘れていなかったのだ


あなたに伝えたかった

忘れられなくなっていたのだと

伝えてもらうはずだった伝言

あなたに届いていますか
コメント (0)

「春の迷い」
あなたのコトバは誰のもの?

道ならぬ恋をしたのは
あなた自身?

それとも
誰かの想いの代理人?

あなたの恋は偽りの
春の迷い
コメント (0)

「歌姫」
ただひたすらに歌う

思いよ とどけ
あなたのこころに

小柄な体が
弾む スィングする
ロールする

唇が音を象る
命がほとばしる

スタッフと同じTシャツ
同じ舞台

満足した笑顔

それでも彼女は
最高峰に立った女神
コメント (0)

「野良仕事」
春の野良
麦に硫安を撒く

この時期の麦は
大地に生えた恥毛のよう

雲雀が鳴く
麦畑は彼らの砦になる
棲家になる

さあ
伸びろ
風を呼吸しろ
我も大地に立つ
コメント (0)

「雪便り」
雪国から祭りの便り
白き世界かな
懐かしき故郷かな
忘れえぬ思いこそ
新しき輝きに

北の国から
突風の便り
「ペンを執れ」と
再び書き出せと
いまだ躊躇するは
道標を雪の中に見失ったまま
私は故郷を捨ててきた
コメント (0)

「分身」
それぞれが違う事をやっていたら

どれがホントの自分か

わからなくなった

そんな経験ありませんか
コメント (0)

「流遷形」
時の流れは
風の色を変える

昨日の夢は
明日の夢

時を止めるは
疑惑の思考

流す言葉は
還す風
コメント (0)

「情報処理」
コトバを食べ続けたら
排泄しなくてはいけないのだ

わたしのコトバは
排泄行為

生きるための
自然の摂理

不必要なコトバは
捨て去らなければいけないのだ

そして わたしは
コトバを食べ続ける
コメント (0)

「水槽に棲む」バージョンB
目覚めたおまえに
話し掛けると赤くなって
岩陰に隠れてしまう
おそらく檻から抜け出した
怪物にでも睨まれてる気分なんだろう

たしか冷蔵庫の中に
残りの餌があったはず
首吊り死体のようにぶらさげて
おまえにやろう

夢中で喰らいつくおまえは
野獣のように可愛い
コメント (0)

「水槽に棲む」バージョンA
ああ そう
確か冷蔵庫の中に
あれがあるはず

アケテ アケテ
アレガホシイノ
アレヲチョウダイ
アレヲタベサセテ

まるであたしの食欲は
首吊り死体のように
宙吊り

目が覚めると
あなたはあたしを見てる
話し掛けると赤くなって
あなたの野生は
おそらく檻から抜け出した


ほら
あたしを食べて
コメント (0)

「倦怠」
生き続けなくてはいけないことに

少しクタビレル

思い悩むことに飽きる

だから

ほいじゃあ!えぃやっ と
思考撹拌

誰かに会いにいこう
誰かと話そう
とってもくだらないこと
莫迦莫迦しくなる時間を食べに行こう
コメント (0)

「I don’t need THAT name」
コトバに名前をつけないで

音に名前をつけないで

溢れ出る流れを押し留めないで

狩人のように
飛ぶ鳥を砂糖菓子にしないで

わたしは名前という
足枷はほしくない

分析しないで
分類しないで

わたしはわたし
コメント (0)

「獏」
あなたの悪夢を喰ろうてやろう

あなたの寝息が幼子のようになるまで

あなたの悲鳴を呑み込んでやろう

あなたの口元が微笑むまで

あなたの眠りを包んでやろう

ふたたび悪夢が訪れることのないように
コメント (0)