2002年01月の記事


「端布」
布を裁つ
ただ一途に幾何学模様

思い出にひと針 
縫い込めるノスタルジー

あの子がはいてたスカート
あなたと会ったときに着てたブラウス

あなたに買ってもらったスカーフ
あなたの使ってたハンカチーフ

思い出を閉じこめる
布のアルバム
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「ふゆぞら」
寒風の中
電線に留る 鳶の群れ

トビ トビ トビ
 トビ  トビ    トビ
とびとびに  トビ
128羽

いっせいに螺旋をえがく
ふゆのそら
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「杖に縋りて」
盲人の杖の代わりになりて
彼の人を支配せぬ

老婆の杖となりて
その生涯を背負えリ

迷い人の書物を奪い
「これは戯言なり」と

我に その権利なし
汝に その権利なし
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「経験」
結婚しなかった経験も
結婚できなかった経験も
わたしはしたことがない

子供を生まなかった経験も
子供を生めなかった経験も
わたしにはない

どんな人生をかさねようとも
あらゆることを経験するのは
想像力でしかありえない

それが自分にとっての救い
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「優しくない女」
抱かれることを拒絶したのは

「発情期じゃないからさ」

抱かれることが愛してること?
悦んでることが愛の証

わたしの疑問に答えてよ
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「Syouko」
Syouko
朝だよ 起きて

Syouko
ほら、早くご飯食べて
遅刻するよ


Syouko
おかえり
今日、学校どうだった?

Syouko
ごはんだよ

Syouko
もうそろそろ お風呂に入って

Syouko
はやく寝なさい

Syouko
いい夢が見られるように
「ママ、あのね」「ママ、今日ね」
ママ、とわたしを呼ぶ数と同じぐらい
あの子の名前を呼んであげよう
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「Life is Live」
人生はいつも生本番

成功も失敗も

自分の責任

熱くなって いこうぜ!
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「家庭内別居」
いつも
あなたは独り

わたしのことなど
振り返りもせず

着いて来ないのが
悪いと言わんばかり

気が付いたら
違う道を歩いていた

だいじょうぶ
独りでも歩いていけるさ

また会う時もあるだろうから
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「ブロイラー」
知識を詰め込むことで

肥えた体は

破壊の王の餌食となる

羽ばたくことを忘れた知恵は

血にまみれ 息絶える

存在の意味すら忘れ

無になる
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「トムキャット」
戦闘機と同じ名前の猫
いつの間にか
旅に出た

猫科の雄は目当ての雌に会うと
その子供を
噛み殺すという

おまえも
そんなふうにして
子孫を残していくのだろうか

いつだったか
痩せた体で
ふらりと戻ってきた
野生の瞳をぎらつかせ
人間に媚びない身構えで

それでも
与えた餌を親愛の情で食べてみせ
また
ふらりと旅立っていった

トムという名前の猫は
うちで生まれた飼い猫だった
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「落ちる雪のごとくに」
落ちる雪のごとくに
ひとは重なり
ひとつになる

想いは重なり
時は積もり

いつか消えて 
地の果ての霞となる
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「あばずれ」
すがりつくのも
すがりつかれるのも
嫌い

もっと嫌いなのは
自分の器を知らない奴

あたしは あたし
誰のものさしでも
計れないよ
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